タワーマンション購入による相続税対策は超有効

タワーマンション購入による相続税対策は超有効

今回は、タワーマンション購入が節税になる仕組みと注意点をご紹介します。

目次

タワーマンション購入による相続税節税の仕組み

タワーマンション購入による相続税の節税は、被相続人の存命中にタワーマンションを購入して相続財産を相続税の財産評価上圧縮し、相続発生後、場合によっては売却することによって現金化して資産を現金化するというものです。つまり、タワーマンションの相続税の財産評価と時価(市場価格)との歪みを利用して節税するという仕組みです。

マンションを購入するということは、土地と建物を購入することと同様です。相続税法上、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価されます。一般的には路線価は時価の80%、固定資産税評価額は時価の40%~60%の水準で評価されていると言われています。加えて、タワーマンションの場合、通常は時価に占める建物の割合が大きくなり、固定資産税評価額で評価される価格の割合も大きくなります。

そして、土地についても戸数が多いため、一戸当たりの持分も少額になり、土地の割合も一般的なマンションよりも小さくなる傾向にあります。特に、マンション敷地内に公園や公衆用道路などが整備されている場合、より評価額が下がることもあります。

また、従来、マンションのような区分所有物件の固定資産税額は全体の固定資産税額を床面積で均等に按分し算定するという方法であったので、市場価格の高い高層階は固定資産税評価額との乖離が大きくなり、節税効果が高いという仕組みでした。

タワーマンション購入による相続税節税の注意点

実は、国税庁の財産評価通達では、「著しく不適当と認められる評価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」という規定があります。所謂伝家の宝刀と呼ばれるものです。

従って、上記の方法で評価したものが税務署によって不適当とされる場合には、上記のような財産評価が認められることは保証されません。実際に、過去においても相続の直前にタワーマンションを購入したようなケースでは購入か価格による評価がだとうであるとの更正処分を受けた例もあります。

そのため、大事なことは、被相続人が元気で本人の意思が明確なうちに被相続人自らが自分の意志で購入取引をすること、や相続したタワーマンションの売却は相続税申告後乃至は申告後一定期間まで行わないこと、そのほか、タワーマンションの使用頻度や用途を具体的に示すことなどが租税回避目的でないことを証明するためにも大事であるとも言えます。

平成29年度税制改正による影響

平成29年度税制改正により、タワーマンションの階層の違いによる時価に配慮し、固定資産税額も、高層階ほど負担額を増額することとなりました。

具体的には、高さが60メートルを超える超高層建築物のうち、複数階に住戸が所在しているものについては、一棟のタワーマンションに係る固定資産税額を按分する基準となる各専有部分の床面積を階層別専有床面積補正率によって補正する、というものです。

補正率は、階層が1階上がるごとに、税額按分の基準となる床面積を約0.26%大きくなるように設定されています。これによって、タワーマンションの20階は1階の約1割増し30階は1階の約2割%増しの固定資産税額となります。この改正は平成30年以降購入分から適用になります。

タワーマンションの場合、高層階と1階の市場価格の差は一般的には3倍~5倍ぐらいとされており、固定資産税評価額の増額によって高層階の財産評価が上がったとしても、なお、財産評価額と市場価格の乖離は大きく、節税メリットはかなりあると言えるでしょう。

ただし、国税当局による監視の目も厳しくなっていることと併せて考えると、今後タワーマンションの節税目的には最深の注意が必要になると思われます。

今後のタワーマンション購入節税

今後のタワーマンション購入による相続税の節税は、その市場価額と財産評価との乖離を利用することに加え、相続税法の特例である小規模宅地等の特例や貸家建付地の評価減を利用した節税も組み合わせることが重要になるのではないかと思われます。

小規模宅地等の特例とは、自己居住用であれば400㎡までの居住用宅地につき80%、または貸付事業用であれば200㎡までの宅地につき50%の評価減を認めるというものです。ただし、建物部分にはこの特例の適用はありませんので、建物価格割合の大きいタワーマンションの評価減には、これだけでは不十分です。

タワーマンションの場合はさらに、タワーマンションを賃貸することで貸家の評価減(通常30%減)を併用することで節税の効果が高くなります。

ちなみに、上記の手法は、タワーマンションに限らず、不動産全般に適用できる節税手法です。そして、これらの手法を適用するには、相続税法における特例の適用要件を慎重に検討する必要があります。タワーマンション節税のメリットは、このような煩雑な手間をかけなくても、購入しただけで相続税の財産評価が極端に下がることや売却時にあまり価値が下がらないことにもあったと思います。

同様に、現金を不動産化して財産評価を下げる節税手法を採用するのであれば、他の不動産を購入する選択肢も比較するのが良いかもしれません。

なお、令和4年4月19日にある納税者が行った財産評価基本通達の路線価に基づく相続財産の評価が不適切であるとの判決が、最高裁判所第三小法廷において下されています。

財産評価基本通達の6項にいては「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と規定されていますが、本事案では、国税当局が同項に基づいて、納税者の行った申告を否認し、訴訟となったものですが、最終的に最高裁は国税当局の見解を妥当と判断しました。

同項は、一般に「伝家の宝刀」と呼ばれ、頻繁に適用されるものではありませんが、本事案では、相続直前の対策、短期的な不動産の売却、銀行からの融資目的が相続対策であったことや取得価格と路線価方式に基づく相続税評価額との乖離の大きさなどによって同項の適用の妥当性が説明されています。

本事案は、タワーマンションそのものでありませんが、タワーマンションの購入でも、行き過ぎた相続税対策の場合は、同項の適用可能性はあると考えられますので、相続税対策でタワーマンションを購入する場合には留意が必要と考えられます。

まとめ

タワーマンション購入による相続税節税の仕組みは、市場価格と相続時の財産評価の基準になる相続税評価額との乖離を利用したものです。

ただし税制の改正やタワーマンションンブームを受けての当局の姿勢転換もあり、従前より環境は厳しくなりつつありますので、他の特例を組みあわせるなどしてリスク低下と節税効果改善を行っていく必要があると言えます。

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