法人の米国不動産を活用した節税

今回は、多くの富裕層の方が実践をしている米国不動産投資による節税の仕組みをご紹介します。

令和2年度の税制改正によって、個人の海外不動産を活用した節税対策が難しくなったのですが、法人に関しては未だにメリットはありますので以下でご紹介いたします。

目次

節税の仕組み

米国不動産投資が節税となるのでしょうか。その手法を一言でいうと、米国不動産の減価償却費を含む赤字を日本の課税所得にぶつけるというものです。

なぜそのようなことが可能なのでしょうか。その答えは、米国の土地建物の価値における建物の価値の比率と減価償却のスピードにあります。

まずは建物の比率のお話しです。みなさまご存知の通りアメリカの土面積は日本の25倍ですが人口は325百万人と日本の3倍にも満たない数値となっています。つまりそれだけ一人当たりの土地の面積が大きく日本に比べて土地の価値が相対的に低くなっているのです。

この特性から、米国不動産は、償却対象である建物比率がおおむね7~8割程度となることが多く、日本のそれと比較して大きい点が特徴的となっています。

そうすると何が起きるのでしょうか。事例を使って説明します。例えば同じ1億円の土地建物を日本とアメリカで購入したとします。この場合例えば日本の土地の価値の比率が80%でアメリカが20%であるとします。その場合、償却の対象となる建物の金額は日本では2千万円ですが、アメリカでは8千万円となります。

同じ価格の不動産を購入しても、償却対象である建物の比率(建物比率)が米国の方が80%と大きいため、経費として計上できる金額が大きくなるのです。この減価償却費を日本での課税所得から差し引くことができ、納税額を大幅に下げることができるのです。

米国不動産は、不動産に占める建物価値の比率が大きい

逆の見方をすると償却対象である建物の比率が小さい日本では、減価償却費が少ししかとれないため、経費計上しても節税への効果はさほど大きくはなりません。

次に、減価償却のスピードです。みなさまご存知の通り中古物件の耐用年数については新築のそれよりも短くすることが可能であり、物件の構造にもよりますが、例えば20年以上経過しているような物件では耐用年数が4年になることもあります。このルール自体は日本の物件にも適用されるのですが、先ほど説明した建物比率の高さと相まって非常に大きな効果を発揮するのです。

先ほどの例を使ってします。日本の物件もアメリカの物件も中古物件で耐用年数が4年であるとします。この場合、日本の物件の1年間の減価償却費は5百万円となりますが、アメリカの物件の1年間の減価償却費はなんと2千万円となるのです。

ここで例えば1億円の物件から毎年1千万円の賃料をえられるとした場合には減価償却費だけを考慮したとしても日本の所得は1千万円のマイナスとなるのです。このように、この減価償却費を課税所得から4年間にわたって毎年差し引けることで、納税額を大幅に下げ、節税効果が期待できるというわけです。

ただしもひとつポイントがあります。確かに建物の比率は高く減価償却費も大きな金額を計上できても、5年目以降は減価償却費がなくなり所得が急激に増加するため、結局トータルでは税務的にはメリットがないと思われる方もいらっしゃると思います。

このあたりは、保険などの他の税の繰延商品と同様に、例えば、減価償却終了後、売却を行い、得られるキャピタルゲイン相当の益金と役員の退職慰労金の損金のタイミングを合わせるなどのタックスプランニングは必要になると思われます。

さらに例えば西海岸の一等地に関しては今後も人口増加が予想されており、また日本より湿度の低い気候も手伝ってアメリカの物件は相対的に長持ちすると言われています。このようなことから値上がり(若しくは遅い値下がり)も期待できるうえに、基軸通貨であるアメリカドル建ての資産を保有することも同時に可能なのが米国不動産なのです。

まとめ

皆様いかがでしたでしょうか。米国不動産投資のポイントは物件自体の魅力、アメリカドル建ての資産保有に加えて節税も大きなポイントになるかと思います。

ちなみにここでは省略をしましたがアメリカで不動産を保有する場合にはアメリカの税金に関する検討も必要になりますのでご興味のある方はお気軽にご相談くださいね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

クラウド資金調達は様々な資金調達方法の中から貴社にあった最適な資金調達方法をご提案するサービスです。資金調達でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

目次