みなさまは「税務調査」という言葉を聞いたことがありますか?
税務調査とは、国税局や税務署などが、納税者の申告内容を納税者が作成した帳簿や資料、実地調査などで確認し、申告内容に誤りがないかどうかを確認する調査を言います。
税務調査というと、よく映画やドラマなどで怖い調査官が踏み込んできて・・・というイメージを持たれる方もいるかもしれません。しかし、そのような税務調査もないといいませんがほとんどの税務調査はこのようなものではないのです。
税務調査には大きくは2種類あり、映画のであるような“強制調査”に対して、通常のものは“任意調査”と言われます。
文字通りなのですが、任意調査はあくまで納税者の「任意」に基づいて行わるのですが、実際には納税者には受忍義務という義務が課されますので、基本的には税務調査を断ることはできません。
でもご安心ください、先ほどお伝えした通り大部分の税務調査は、税務署の職員が会社や自宅に訪問し、質問や資料の調査、帳簿の確認等、粛々と行われます。
ただ、特にやましいことを行っていない方々にとっても税務調査は緊張すると思いますのでここでは税務調査の基礎的な知識についてご説明します。
税務調査の頻度
まず、税務調査はいつどれくらいの頻度でやってくるのでしょうか。一般的には実地調査は4~5年に一度といわれていますが、2年ごとに税務調査が行われるような法人もあれば、設立から10年間税務調査が実施されていない法人もあります。ここでは省略しますが、かいつまんでいうと、実は税務署では法人に対して一定の格付けを行い、一定の会社等に対しては、頻繁に税務調査を行うような仕組みとなっているのです。
税務調査が入りやすい会社とは?
上記では、税務署は法人によって、税務調査に入るか入らないかを決めているというお話をしました。では、どのような会社に税務調査が来やすいのでしょうか。主なポイントは以下です。自分の会社が以下のポイントに該当する時は、税務調査が来る可能性があるという認識でいた方が良いかもしれません。
現金収入の多い会社
現金収入の多い会社は、現金を隠ぺいして売り上げを不正に除外することがより容易となりますので税務調査が行われやすい傾向にあります。
売上や利益が急激に増加している会社や黒字の会社
売上や利益が急激に伸びている会社は、経営者に納税額を抑えたいという意識が働くことも多く、税務調査の対象となる可能性が高いです。また、赤字の会社の場合、税務調査を行っても追徴できない可能性が高いので、黒字の会社のほうが調査の入る可能性は高くなります。ただし、赤字の会社でも、多額の役員退職慰労金の支払いやそのほか特別損失の発生など、非経常的な経費の計上により赤字となっている場合は注意が必要です。
また儲かっている経営者がテレビなどに出演して派手な振る舞いをしている場合や、場合によっては内部告発が税務調査の引き金になるケースもあるようです。
消費税の還付を受けた会社
不動産会社や輸出業者その他多額の設備投資を行った会社などで、消費税について還付を受けた場合などは税務調査が入りやすくなります。
前回の税務調査から期間の経過している会社
当然ながら前回の税務調査から間が開いている場合は、税務調査の実施される可能性が高まります。
税務調査では何を見られるのか?
それでは税務調査ではどのような項目を中心にみられるのでしょうか。以下では、通常の税務調査でみられる主なポイントを紹介します。
売上計上時期・計上もれ
まずは、売上の計上時期の間違いや売り上げを意図的に除外していないかです。これは例えば当期に計上すべき売り上げを翌期に計上している場合なのが該当します。
交際費
社長や役員の個人的な経費が使われていないかというのは非常に関心を持たれる項目です。
在庫の計上漏れ
売上規模が大きく変わらないのに在庫が大きく減っている場合などは非常に関心を集めやすいです。
架空人件費・外注費
架空の役員を入れている場合があるとか、働いていないのに身内の人を入れているとか、また、発注を行っていない外注費の計上などが該当します。
関係会社や役員との取引や非経常的な取引
関係者との取引ではその価格設定を恣意的に決定することが可能なため、不正が行われやすい項目となります。また多額非経常的な取引も関心を集めやすくなります。
税務調査対策として重要なこと
当然ですが、税法も法律ですので、追徴課税も法律に基づいて行われます。従って、どのような指摘を受けても動揺する必要はありません。誤ったことをしていなければ粛々と処理や取引の説明をすればよいだけなのです。
そのためには、日ごろから、正しい帳簿作成を行うことだとか、書類を適切に保存すること、税務処理について正確な知識を持っておくことが大事です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。このように、税務調査はその内容を理解すれば怖いものではありませんので、ぜひ日ごろの心がけを大切にしてください。