経営者が外部から資金調達をする場合、まず検討するべき手段が日本政策金融公庫の融資です。ベンチャー企業やスタートアップで資金が必要な方にも広く利用されています。
「融資を受けたいけど、審査は厳しいのか?」「審査落ちする理由は?」と気になっている方も多いかと存じます。
今回の記事では、審査の基準から審査落ちしてしまう理由まで解説いたします。
日本政策金融公庫の審査は厳しい?審査基準やポイントは?
日本政策金融公庫では、貸倒等を防ぐため、審査段階でいくつかの基準を設けています。その中でも重視されるポイントと基準について、解説していきます。
自己資金割合
まず確認されるのが自己資金の割合です。
日本政策金融公庫の新創業融資制度の場合、開業に必要な全ての資金の10分の1以上の自己資金があることが要件とされています。また、自己資金が10分の1に満たない場合も、「現在勤める企業と同じ業種の事業を始める方」「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」なら自己資金ゼロでも申込可能です。
ただ、こちらは最低基準の話です。自己資金が高いほど、融資後の資金繰りが安定しやすいと考えられ、審査に通りやすくなります。必要な資金額の3分の1以上の自己資金があれば審査に通りやすいでしょう。
自己資金が足りず不安な方は、自己資金を貯めてから申込をすることや、事業の規模を縮小してみることも検討してみると良いでしょう。
資金用途
資金の用途をきちんと説明できるか、数字の根拠があるかも、重要な基準となります。
使い道が定まっていない場合は、審査落ちや、融資額が減額になってしまう可能性があります。何にいくら必要なのか、どこから仕入れるのか、経費はいくらなのか、具体的な数字と使い道を準備して、説明できるようしておきましょう。
事業計画書、資金繰り表、見積書、工事請負契約書等、事前準備すると良いでしょう。
返済能力と計画
審査の際は、期日までに返済できるか、返済計画が現実的であるかをチェックされます。
のちほどご説明しますが、経営者自身の信用情報もチェックされますし、返済をきちんと行える人物であるかが審査されます。
日本政策金融公庫に審査落ちする理由
ここまでは審査に重視される基準・ポイントについて、ご説明してきました。それを踏まえて、審査に落ちてしまう理由について、解説していきます。
信用情報に問題がある
クレジットカードやローン申込で確認される信用情報ですが、日本政策金融公庫の審査でも調査されます。借金があるから絶対融資が受けられないということはありませんが、頻繁な滞納・任意整理の過去がある等、信用情報に問題がある方は審査通過が難しくなります。
信用機関の下記情報等が照会され、返済能力のある人物であるか審査されます。
- ローン・クレジットの延納・滞納はないか
- 消費者金融・カードローン・クレジットカードのリボ払い・キャッシング利用等を多用していないか
- 任意整理をしていないか
公共料金や税金の支払いに遅延がある
光熱費、水道代、電気料金、電話料金といった公共料金の支払いに過去多数遅延がある方も、審査通過が困難になります。また、税金の未払いや滞納も審査に影響があります。
必ず支払期日は守り、未払いのない状況で審査に臨みましょう。
事業計画書に問題がある
経営の計画性ももちろん審査されます。
スタートアップ等、事業の実績がまだない状態で融資の申込をする場合は、事業計画の内容が重視されます。根拠のない過剰な売上、人手が必要なはずなのに人件費が計上されていない等、妥当性に欠ける事業計画書だと、難しいでしょう。
以下のような内容を盛り込み、数値の根拠を明確に示すようにしましょう。
- 経営者の情報(経歴・起業の動機)
- 商品・サービスの詳細説明
- 客観的な市場分析
- 収益のシミュレーション、事業の見通し
- 現状の説明(取引先・借入先等)
- 必要な資金とその理由
面談で説明がうまくできていない
必要書類を提出した後、日本政策金融公庫の担当者と面談を行います。
その際うまく説明ができない場合も、審査落ちの原因になる可能性があります。資料ではわからない経営者の人柄や熱意・誠実さ等も判断材料です。
事業計画を自分で内容を理解していないと、面談で説明することも難しいでしょう。また、事業計画書と話している内容に矛盾がある場合、審査通過が難しくなります。
審査に落ちてしまった場合、どうすればよいか
審査に落ちてしまっても二度と融資を受けることができないわけではありません。
審査に落ちてしまった原因を分析し改善できるのであれば、半年経てば再度申込することも可能です。審査に落ちてしまった場合の対処方法についてもご説明していきます。
審査落ち理由を改善する
日本政策金融公庫の担当者に審査落ちの理由を聞いてみても、大抵教えていただけません。理由は自分で分析し、原因を把握し、改善してから再度挑みましょう。
経営者本人に自己破産の過去がある等、信用情報に問題がある場合は難しいかもしれませんが、それ以外の理由の場合は改善の余地があります。
事業計画を再度考え、担当者との面談でも事業内容・資金用途等、きちんと説明できる状態にして備えましょう。
自己資金を増やして、再度申込する
自己資金が少ない場合、審査落ちの原因になる可能性があります。自己資金が少ないと融資に頼る比率が高くなるため、返済負担も高くなり、返済できないケースも増えるからです。
個人で所有している設備や車も会社のものとして資産化すると、会社の財務状況も変わりますので、専門家に相談してみても良いでしょう。
認定支援機関を利用する
認定支援機関とは、中小企業を支援するための専門的知識あり、国からの審査を通過した結果「一定の実務経験がある」と認定を受けた支援機関のことです。
具体的には、税理士・公認会計士・中小企業診断士・商工会議所・金融機関等が該当し、数多くの専門家・専門にしている企業があります。勿論、認定支援機関への相談は審査に必須ではありませんが、事業計画書・返済計画等を自分で一から作成することも、修正していくことも、どちらもとても大変です。
経営者・従業員に該当知識がない場合、調べても難しい場合、活用されるとスムーズでしょう。
他の資金調達を検討する
資金調達方法は日本政策金融公庫に限りません。民間金融機関の融資もあれば、地方自治体の融資もあります。他で申し込む場合も、事業計画はしっかり立てる必要がありますので、注意しましょう。
また、融資だけでなく、補助金・助成金・クラウドファンディング等も資金調達の一種です。できるだけ多く選択肢から、最善の手段を選べると良いでしょう。
日本政策金融公庫の審査でよくある質問
個人事業主でも日本政策金融公庫は利用できる?
日本政策金融公庫の融資は法人だけでなく、個人事業主も利用可能です。融資制度の種類は多数あり、事業を営むほとんどの方が申請可能です。事業規模に合った借入申請でしたら、十分に申請が通る可能性があります。
ベンチャー企業、スタートアップでも日本政策金融公庫は利用できる?
ベンチャー企業、スタートアップのような新たに事業を始める方でも申込可能です。新企業育成貸付、挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)、新株予約権付融資等、適した制度も多数あります。
- 新企業育成貸付…新たに事業を始める方または事業開始後7年以内の方が対象
- 挑戦支援資本強化特別貸付…スタートアップや新事業展開・海外展開・事業再生などに取り組む方で、技術・ノウハウに新規性があるなど、一定の要件に該当する方が対象
- 新株予約権付融資…新たに発行する新株予約権を当公庫が取得し、必要な資金を無担保で供給する仕組み
まとめ
経営者が資金調達を検討された場合、まず低金利で無担保・無保証と条件のいい日本政策金融公庫の融資を考えるでしょう。ただ、審査で落ちてしまう方も一定数いるのも事実です。
最後に、クラウド資金調達は公庫・制度融資だけでなくあらゆる資金調達方法の中からあなたに最適な資金調達方法をご提案するサービスを提供しております。
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