売上計上基準を見直すだけで大きな節税効果

売上の計上は、物品販売業なら出荷時、サービス業なら提供時にしているケースが多いと思われます。

しかし、税務上認められている計上基準は、出荷基準や役務提供完了基準以外にも複数あります。売上計上基準を見直すだけでも大きな節税効果を得ることができます。

目次

売上計上基準を見直して、売上の計上を遅くする

売上計上基準の見直しによる節税の仕組みは、売上の計上を遅くして税金を繰り延べることにあります。単純なことですが、売上の計上が翌期になれば、その分にかかる税金は一年遅れます。一年間に、他の節税策を打つことも可能ですし、課税のタイミングが入金時に近づくため、少なくとも資金繰りは確実に良くなります。

節税になる売上計上基準の運用法とは?

売上計上基準には、物品販売業であれば、出荷時に計上する出荷基準の他に、納品基準、検収基準、などがあります。納品基準は、商品を相手先に納品した時点で計上するものです。検収基準は、納品した商品を相手先が検査、受け入れた時点で計上するものです。また、不動産業であれば、相手方が取引対象の不動産の使用収益を開始した時点で計上することができます。これが使用収益開始基準です。

委託販売業の場合、受託者が商品を販売した時に計上するのが通常ですが、計算書到達日基準も認められています。つまり、売上計算書が委託者に届いた時点で計上することができます。販売時から計算書の到達日まで売上計上を遅らせることができるため、節税になることになります。

この他、高額な商品の製造販売業などでは、長期割賦販売を行う場合があります。この場合は、売り上げの割賦代金の回収期日が到来した時点での売上計上が認められています。

役務提供を行う事業では、一般的に提供が完了した時点で売上計上します。しかし、役務提供が翌期にまたがる場合など、その分の代金を前もって手付金などの名目で受け取り、売り上げに計上する場合も少なくありません。このような場合は、受け取った代金のうち今期に役務提供が終了する部分のみ売上計上することが認められています。

実態に即した基準を継続することが必要

税務上認められている売上計上基準を節税に利用する場合、注意点が2点あります。

第1には、実態に即した合理的な基準であることです。たとえば、検収日基準を利用して売上計上を遅くしようとし、実際にはない取引先の商品の検収をあたかもあるかのように装って計上をずらすなどということは当然認められません。

第2に、一度採用した計上基準は継続適用することが原則となります。任意に変更すると利益操作とみなされ税務調査において否認されることになりかねません。変更する場合には、合理的な理由が必要であると考えるべきです。

まとめ

売上の計上基準を見直して節税を行う仕組みは、売上の計上を遅くするということです。今期の売上を翌期に、翌期の売上を翌々期に繰り延べることで税金がかかって来るのが一年ずつ遅れることになります。売上の計上基準を変更して節税をする場合は、業種・業態の実態に即していること、そして継続適用することが必要になります。

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