ビットコイン(暗号資産)に関する税務処理を理解しよう

ビットコインをはじめとする仮想通貨が熱いです。かなりの乱高下ありますが12月26日22時現在1BTCあたり約173万円です。(時間ごとの変動も激しいのでここに記載した価格はすぐに陳腐化すると思いますが。。。)

ビットコインで話題の「億り人」となった方も多いと思いますが、従前は仮想通貨で得た利益に対する課税方法は従前、不明確でした。しかし、国税庁から以下の見解がだされ、ビットコインにより生じた利益が雑所得となることが明確化されました。

ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

国税庁Website(タックスアンサー)

また平成29年12月1日には国税庁個人課税課から「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」として以下の見解が発表されています。

以下では、こちらの見解に従って、ビットコイン投資の各段階と課税について紹介します。

目次

雑所得とは?

まず雑所得とはどのようなものでしょうか。雑所得とは、所得税法上、給与所得や、不動産所得その他の所得のいずれにも該当しない所得で例えば公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税などが該当します。

雑所得の金額は、「雑所得にかかる総収入金額-必要経費」として求められ、これと給与所得などの他の所得と合計して総所得金額を算出、この総所得金額に応じて納める税率が決まることになります。つまり、総所得金額が高くなれば累進税率が適用されるので、住民税を含めると最高55%の税率が適用されることになります。

仮に株式を売却して譲渡益が出た場合は、申告分離課税として、他の所得と分離して課税が行われるため、税率は、所得税と住民税を合わせて20%となります。従って、いかに雑所得されることで税負担が大きくなるかお分かりになると思います。ですので、多額の含み益を抱えながら、実現ができていない人が多いのもわかりますね。

また、雑所得は課税年度単位での計算となるので、ある年に損失が出て、次の年に利益が出ても、損失を繰り越すことはできません。

また雑所得の金額がマイナスとなる場合も、他の給与所得等の所得と相殺(損益通算)することもできません。

ビットコインを購入した場合

ビットコインを購入しただけでは当然税金は課されません。この段階で大事となるのは、後々の税額の計算の基礎となる取得価額です。ここでビットコインを複数に分けて購入した場合には、原則として移動平均法で計算されますが、継続適用を条件として総平均法でも計算できます。

ビットコインを売却した場合・商品を購入した場合

ビットコインを売却した場合には、上記2で計算して取得価額と売却価額の差額が所得金額となり、他の給与所得等と合算され、最高55%の税率で課税されます。

また、商品を購入した場合も、商品の購入金額と取得価額の差額が所得金額となります。

他の仮想通貨との交換

ビットコインを他の仮想通貨(例えばビットコインキャッシュ)と交換した場合には、ビットコインの取得価額と他の仮想通貨の時価(市場価格)との差額が雑所得の所得金額となります。

仮想通貨が分裂した場合

実はビットコインもこれまで複数回分裂をしているのですが、仮想通貨が分裂して新たに生じた仮想通貨を取得した場合どのようになるのでしょうか。この場合、分裂時点では当該新しい仮想通貨の市場が存在しないため、分裂時点では時価がないと考えられています。そのため仮想通貨の分裂時点では所得は生じないとされています。

仮想通貨のマイニング

仮想通貨はマイニング等の行為により新たに取得されることもあります。この場合は、例えば仮想通貨のマイニングを事業として行っている場合には、事業所得に分類され、それ以外の場合には雑所得となると考えられます。

仮想通貨と出国税

みなさま出国税(国外転出時課税制度)は、ご存知でしょうか。出国税とは、平成27年7月1日以後に日本から外国に移住する一定の居住者が、1億円以上の対象資産を所有する場合に、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課される制度です。

ここで、出国税の対象となる資産は、次のとおりです。

  • 有価証券(株式、投資信託等)
  • 匿名組合契約の出資持分
  • 未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引

出国の時点で1億円以上の対象資産を保有していれば、所定の時点で資産を売却したとみなして、含み益に所得税が課税されます。

ここでポイントは出国税の対象となる資産は有価証券等に限定されているため仮想通貨については出国税の対象とならない可能性が高いです。従って、現時点においては、ビットコインを保有したまま、含み益を実現せずにビットコイン課税のない国に移住した場合、日本の所得税が課税されない可能性もあるのです。

ただし、ビットコインによる、億万長者が多数でてきており、その課税は当然国税にとっても興味がある分野となりますので、今後税制が変更となる可能性も考えられます。

まとめ

  • ビットコインの売却益等は雑所得で最大55%の税率で課税される
  • ビットコインについては出国税が課されない可能性が高い
  • 始まったばかりの制度であり、税制は日々チェックすることが必要である
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この記事を書いた人

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