同族会社をうまく利用して不動産の相続税の財産評価減を行うことができます。
個人事業主は是非法人成りすべきですし、すでに同族会社を経営している場合は、その同族会社の事業に関係する不動産について、評価減の特例の適用を受けられるよう、対策を行うべきです。
個人事業者の法人成りによる土地・建物の評価減
個人事業を営んでいる場合は、法人成りをして、自分で使用している土地や建物を法人に貸し付けると相続税対策になります。別稿で言及した、貸家・貸家建付地の建物・土地の評価減は、同族会社に貸し付けている場合でも適用されるからです。
ただし、貸し付ける建物・土地は小規模宅地の特例や事業用宅地の特例の適用を受けない、建物・土地でなければメリットはありません。
ですから、すでに事業用として利用している建物・土地などではメリットはないと言えます。個人事業者で遊休不動産がある場合には、有効なので検討したい節税法です。
同族会社の事業に使用している不動産の節税対策
まず、同族会社の事業に使用している不動産について、一定要件を満たせば、事業用宅地の評価減の特例が適用されるので、利用すべきです。該当するケースとして、次の3つのケースが考えられます。
被相続人の所有する宅地の上に同族会社所有の建物等があり、同族会社がその建物で事業を行っている場合、次に、被相続人の宅地の上に被相続人の建物があり、同族会社がその建物を借りて事業を行っている場合、そして、被相続人の宅地の上に被相続人と生計を一にする親族所有の建物があり、同族会社がその建物を借りて事業を行っている場合です。
条件としては、その同族会社の株式または出資の50%以上を、相続開始の直前に被相続人または生計を一にする親族が保有していること、その宅地を取得した親族が、相続税の申告期限において、その同族会社の役員であること、その宅地を取得した親族が、その宅地を相続税の申告期限まで保有していること、となります。また、同族会社への貸付は、賃貸借契約でなければなりません。使用貸借では適用されないので要注意です。
さらに、同族会社と賃貸借契約を締結する際に注意しなければならないのは、借地権の権利金に相応する地代などの支払いがないと、借地権の贈与があったものとして、認定課税されてしまう点です。地代を支払うか、支払わない場合は、税務署に、土地の無償返還に関する届出書を提出しなければなりません。
まとめ
遊休不動産を持つ個人事業者は、法人成りして同族会社にその不動産を貸し付けることによって、貸家・貸家建付地の評価減の適用を受けることができます。
また、同族会社が事業を行っている不動産についても、賃貸借契約を結べば事業用宅地の評価減の特例の適用を受けることができます。