【法人税対策】赤字会社とのM&Aによる節税

会社を経営されている皆様には、一つの会社だけでなく複数の会社を持たれている方も多いかと思います。また外部から会社を購入(M&A)しグループ企業を形成されている方もいるかもしれません。

さらには複数の会社で、コストが重複したり、取引が複雑になったりしている場合もあり、グループを整理したいと思われている方も多いと思います。

ここでは会社の合併を利用した節税方法を紹介させていただきます。

ただし合併に関する税務に関しては非常に難解になりますので、ここでは頭出しだけさせていただき、詳細は顧問税理士に必ずご確認ください。

目次

合併とは

こちらは ご存知の方は多いと思いますが、合併とは、一社あるいは複数の会社が、他の会社に権利義務のすべてを承継させるものをいいます。

この合併には、吸収合併と新設合併の2つがあります。吸収合併は、1つの会社が他の会社に資産、負債、契約上の地位等の権利義務のすべてを引き継ぐものです。

新設合併は、2つ以上の会社が新設会社に各社の権利義務のすべてを引き継ぐものです。実務上は、新設合併は多くなく大部分が吸収合併だと思われますので、ここでは吸収合併を前提に話をすすめます。

合併した場合の税務上の取扱い

法人税では法人が合併を行った場合、それが吸収合併であれ「適格合併」と「非適格合併」に分類されます。

端的にいうと適格合併は、合併前の状態が続いているとして、合併によって損益を発生させない合併ですが、非適格合併は合併によっていったん法人が清算され合併によって損益が生じる合併となります。

適格合併の場合の欠損金

法人が適格合併を行った場合、合併により消滅する法人(被合併法人)が繰越欠損金を有していた場合は、合併法人で原則としてその繰越欠損金を引き継ぐことが可能ですので、被合併法人に多額の繰越欠損金がある場合などは、合併後に合併により存続する法人(合併法人)でその繰越欠損金を自分の所得に充てることが可能となります。

適格合併の要件

それではどのような場合に適格合併になるのでしょうか。基本的には持ち株の比率によって以下の要件に分類されます。実際にはやや複雑なのですがここでは単純化させていただきます。ポイントは見てお分かりの通り資本関係が少ないほど求められる要件が多くなるということです。

①100%グループ内の合併

100%の関係の継続

②50%超100%未満グループ内の合併

  1. 一定の従業者引継
  2. 事業の継続
  3. 資本関係の継続

③上記以外の資本関係

  1. 一定の従業者引継
  2. 事業の継続
  3. 事業の関係性
  4. 事業の規模または経営者の参画
  5. 株式の継続保有

繰越欠損金の制限(注意)

ここが一番大事なのですが、適格合併だからといって必ず、欠損金が引き継げるわけではありません。また場合によって繰越欠損金が引き継げないだけでなく、合併法人の繰越欠損金も利用でき来なくなる場合があります。

そのルールは非常に複雑ですので、詳細は省きますがここでのポイントは、欠損金の利用を目的とした合併等を防止するため、例えば多額の欠損金を有する会社を購入して合併する場合などは基本的には欠損金の引継ぎ等を制限する内容となっていることです。

従って、繰越欠損金の制限がないのは従前から資本関係を有する場合や、その合併が事業継続上必要なケースに限られます。

適格合併のほうが有利か

これまでは適格合併の欠損金の引継ぎを中心に説明してきました。それでは必ず適格合併のほうが有利なのでしょうか。答えはNOです。場合によっては非適格合併により被合併法人で損失を出したほうが有利なケースも想定されます。

合併の種類を選択できるか

それでは合併の種類は納税者によって選択可能なのでしょうか。答えはYESでもありNOでもあります。合併に関しては、上述の通り基本的には資本関係等により強制的に合併の類型が決定されますので、納税者による選択はできません。

ただし、それ以前の段階において資本関係等を変更することによって合併の類型を変更することはできないわけではありませんが、組織再編に関しては、基本的には税に対するインパクトも大きく、恣意的な捜査に関しては後々税務調査の際に否認されることもあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。合併の税制を簡単にまとめてみたつもりです。やや物足りない方もいらっしゃるかもしれませんが、内容に入り込むとかなり複雑になりますので、詳しくは顧問税理士様等へご相談ください。

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