【節税の基礎】知らないと怖い節税と脱税の違い〜課される罰則の種類は?

突然ですがあなたは本当に節税と脱税の違いを理解できているでしょうか?

節税を行うためにはまずこれらの概念の違いについて正確な認識をしておかないと後々大変なこととなり、税金のペナルティーだけでなく、事業を行っている場合には風評被害等、実際のビジネスにも悪影響を置与えてします可能性もあります。

ここでは、「脱税」と「節税」の違いについて「租税回避」についてできるだけ簡単に説明をさせていただければと思います。

目次

節税とは?

節税とは、税法が認める範囲で、言い換えると、合法的に税負担を圧縮する行為です。例えば、特別償却等により減価償却費を早期に計上したり、個人であれば必要経費を適切に計上したりiDeCo等を利用して課税所得を圧縮したり、その他税額控除などを利用して税金の額を少なくしたりすることです。これらの行為は、税法によって認められた行為ですので脱税にはあたりません。

日本企業の皆様も、コスト削減ということで経営者の方は日々あらゆる努力をされていると思いますが、決算書の下から2番目に計上される法人税等の項目についてもコストの一部であると認識はありますでしょうか。

この点、欧米の、特に、多国籍企業は日本の企業よりもむしろ税に対する意識が高く、税金もコストの一部と認識してあらゆる合法的な手段を活用して税負担を最小化しています。欧米の多国籍企業は、一般的にはコンプライアンス意識が高く、違法な行為は忌避しますが、そのような企業でも節税は積極的に行っています。

従って、節税を行うことは全く後ろめたいことでも違法な行為でもなく、寧ろキャッシュ・フローを最大化するために積極的に行われるべきものなのです。

また、以下の“節税の本質とは“において、節税の本質を詳細に説明していますのでこちらも併せてご参照ください。

脱税とは?

次は脱税についてです。ただし、実は税法上脱税という言葉の定義はありません。仮に脱税を定義するのであれば、

『実際には法律上課税されてしまうにもかかわらず、意図的に所得を隠したりして、課税を逃れる行為、非合法的に税負担を圧縮する行為』と言えると思います。

例えば、よく聞く取引としては、実際には発注をしていない多額の外注費を計上したり、在庫を実際の在高よりも過少に計上したり、売上を別の口座に入金して会社の売上から除外したり、その手法には枚挙にいとまがありません。

脱税を行なった場合の罰則〜刑事罰について

では脱税を行った場合の罰則にはどのようなものがあるでしょうか。脱税の罰則は大きくは、延滞税、加算税及び刑事罰の3つに分類されますので、以下ではそれぞれが発生するケースと罰則の内容について説明をします。

脱税の罰則1. 『延滞税』

延滞税とは一言で言うと、税金の滞納期間に対して課される罰金や利子のようなものです。延滞税は、税金を期限までに納めなかった時や修正申告をした時などに課されますので、当然脱税により税額を過少に申告していた場合にも課されることとなります。

なお延滞税の税率は、平成30年であれば原則として8.9%となっています。

脱税の罰則2. 『加算税』

延滞税が期間に対して課される罰金というのは説明しました。一方、加算税は金額に対して課される罰金となります。

加算税には、申告期限内に申告したものの納税額が過少であった場合に課される過少申告加算税、申告期限までに申告しなかった場合に課される無申告加算税、源泉徴収税額を納付期限までに納付しなかった場合に課される不納付加算税、事実を仮装隠ぺいした場合に課される「重加算税」の4つがあります。

この中でも、最も重い税率が適用され、脱税を行った場合に課される可能性があるのは重加算税となります。

重加算税の税率は、原則は過少申告や不納付加算税に係るものについては35%となり、無申加算税に係るものについては40%ですが、過去に無申告加算税や重加算税が課された場合等には最大で55%もの税率となります。従って、通常の法人税率とあわせるととてつもない額の税金がかされることとなりますので脱税を行う場合のリスクは非常に大きなものとなります。

それではどのような場合に重加算税が課されるのでしょうか。
重加算税が課される場合の法律を見てみましょう。

国税通則法第68条第1項

過少申告加算税の規定に該当する場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

どうでしょう、ここでポイントなのは単純に税額を過少に申告するのではなく、隠ぺい・仮想の行為があった場合が重加算税の対象になるのです。つまり、当然ですが、過少申告の目的がより悪質な場合にはより厳しい罰金が課されるのです。

脱税の罰則3. 『刑事罰』

最後に刑事罰についてみていきましょう。

法人税法159条では以下のような規定があります。

偽りその他不正の行為により、・・法人税を免れ、又・・法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

ここで偽り不正の行為とありますが、実際に刑事告発され実刑を受けるケースはどの程度あるのでしょうか。一般的には、数億円程度の脱税事件に関しては刑事告発をされ、また実刑を受ける可能性があるとされています。特に、脱税額を納付していない場合等は、実刑判決の可能性が高くなるとも言われています。

詳しくはこちらをご覧ください。

このように、脱税を行った場合、経済的な罰則のみでなく、最悪の場合懲役刑を受ける可能性もありますので、割に合わない行為になりますね。

まとめ

節税と脱税についてまとめましたが、基本的には節税=合法、脱税=非合法と覚えていただければ大丈夫です。みなさまは是非、節税を行って手許のキャッシュ・フローを最大化してください。

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この記事を書いた人

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