長期優良住宅の基準と課税特例の種類一覧!認定低炭素系住宅もオススメ?

長期優良住宅の普及の促進に関する法律が制定され、この法律の基準に沿った住宅ストックを促進しようと、長期優良住宅の認定を受けた住宅には税金の面からも様々な優遇措置が設けられています。

高度経済成長期は作って壊して建て替える、いわゆるスクラップ&ビルドの経済政策でしたが、現在はそうではなく、優良住宅の長期ストックを増やそうという動きになっています。

その他、低炭素住宅に対しても税制面からの優遇措置があります。この優遇措置についても知っておいて損はありません。

今回こちらの記事では長期優良住宅の基準と課税特例の種類一覧、合わせて認定低炭素系住宅についてもご紹介いたします。

目次

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、平成21年にスタートした長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、認定を受けている住宅のことです。

具体的には、以下の条件を満たす住宅のことを言います。

バリアフリー性

現在バリアフリーでなくても将来のバリアフリー化リフォームに対応できること

可変性

間取り変更等が可能であること

耐震性

地震に対する損傷レベルの逓減をはかっていること(耐震等級2以上または免震建築物等)

省エネルギー性

断熱性能等の面で、次世代省エネルギー基準に適合するための性能を確保していること(省エネルギー対策等級4以上)

居住環境

良好な景観の形成、地域における居住環境の維持・向上に配慮があること

維持保全計

定期的な点検、補修等に関する計画が立案されていること

維持管理・更新の容易性

配管等、躯体に比べて耐用年数が短い内装や設備について、維持管理を容易にするために必要な措置が講じられていること

劣化対策

数世代にわたって住宅の躯体が使用できること(床下空間330mm以上、劣化対策等級3相当)

住戸面積

一戸建の場合は75㎡以上、かつ少なくとも1つの階の床面積が40㎡以上あること

長期優良住宅に認められている課税の特例5つ

長期優良住宅の認定を受けると以下のような課税の特例があります。

長期優良住宅に認められている課税の特例①『登録免許税の軽減』

登録免許税では税率を一般住宅よりさらに引き下げられ、所有権保存登記の場合は税率が0.15%から0.1%に、所有権移転登記の場合は0.3%から戸建住宅で0.2%、中高層住宅で0.1%に引き下げられます。

長期優良住宅に認められている課税の特例②『不動産取得税』

特例適用住宅の課税標準からの控除額が1,200万円から1,300万円に引き下げられます。

長期優良住宅に認められている課税の特例③『固定資産税の軽減措置』

固定資産税の場合、新築住宅では税額1/2の減額適用期間がありますが、これが延長されます。具体的には戸建住宅で3年が5年に、中高層住宅では5年が7年に延長されます。

長期優良住宅に認められている課税の特例④『住宅ローン減税の上乗せ』

認定長期優良住宅に対する住宅ローン減税について、控除対象となる借入金の限度額及び控除限度額を一般住宅よりも優遇するようになっています。
優遇の内容は居住年に応じて違いがありますが、一般住宅に比較して借入金限度額を1,000万円、各年の控除限度額を10万円上乗せできるようになっています。

長期優良住宅に認められている課税の特例⑤『所得税額の控除』

長期優良住宅を新築または購入して、6ヶ月以内に居住を始めた場合、その構造及び設備にかかる標準的な費用の額(最高で500万円まで)の10%相当額を、居住を始めた年度の所得税額から控除することとなっています。

また、控除しきれなかった分がある場合、さらにその翌年の所得からも控除を受けられます。

これは給与所得等の所得から通算して控除を受けることができますので、直接的な節税効果としてもかなり大きい制度です。

ただし、所得税額の控除には所得制限があって、給与所得・雑所得・不動産所得等の所得層合計のその年度分の合計額が3,000万円をこえている場合にはこの所得税額の控除の適用を受けることはできません。

認定低炭素系住宅に関する税務特例~長期優良住宅より認定が緩い

長期優良住宅とは異なりますが、認定低炭素系住宅に関する税務特例もあります。
低炭素建築物とは、建築物における生活や活動に伴って発生する二酸化炭素の排出の抑制するための低炭素化に資する措置が講じられている、市街化区域等に建築される建築物を指します。

1.省エネルギー基準を超える性能をもつこと、かつ低炭素化に資する措置を講じていること
2.都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針に照らし合わせて適切であること
3.資金計画が適切なものであること

法律の字面だけ読んでも分かりにくいですが、木造住宅を仮に新築するのであれば、以下の必須条件を必ず満たし、他に選択的項目のうち一つの条件を満たせばほぼ大丈夫です。

認定低炭素系住宅の必須条件

省エネ法で定める省エネルギー基準の一次エネルギー消費量の10%を超える省エネ性能があること。

認定低炭素系住宅の選択的条件

認定低炭素系住宅には以下の4つが選択的条件として定められています。

①HEMSを導入し、エネルギー使用量の「見える化」等により居住者の低炭素化に役立つ行動を促進する取り組みを行うこと
②節水便器、節水コマ等を導入し節水対策をすること
③木材等の低炭素化に資する材料を利用すること
④敷地や屋上の緑化、壁面緑化等、ヒートアイランド抑制に資する取り組みを行っていること

必須条件では断熱材や省エネ設備を導入することですが、現在の建材や空調設備等は多くが国の定める基準を上回っていますからさほど難しい条件ではありません。

選択的条件はやや設備が高くつくものがあります。①等は例えばエアコンの設定・使用時間に応じて二酸化炭素排出量を表示してくれる機種もありますが、やや割高な印象です。
しかし、②の節水対策にはさほどお金もかかりませんし、満たすことは簡単でしょう。

この条件を満たし、認定低炭素住宅の認定を受けると、長期優良住宅と同等の登録免許税の減額、及び住宅ローン控除の特例による控除対象借入限度額の1,000万円の上乗せが受けられます。

長期優良住宅の認定基準では「維持管理の容易性」、「劣化対策」、「耐震性」、「省エネルギー性」の4つを満たさなければ認定を受けられない等かなり厳しいものになっています。
正直筆者が見てきたところの主観ですが、最近東京23区内で建てられているような新築建売住宅だと、長期優良住宅の認定基準を満たすものは3割もないのではないかと感じています。

しかし、低炭素住宅の認定基準は省エネルギーという一面だけですから、長期優良住宅に比較してかなり基準が緩いものになっていますから、かなり税制優遇措置が受けられる幅が広がっていると言えるでしょう。

まとめ

長期優良住宅、低炭素住宅については国の政策的な意味で設定されている制度です。

長期優良住宅の認定はそれなりに厳しいですが、低炭素住宅は新築時の吟味・工事業者との打ち合わせでさほどの費用や労力をかけなくても満たせるものになっていますので、ご検討ください。

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この記事を書いた人

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