未払費用を漏れなく計上するのは、節税対策の基本です。まず、計上できる条件や基本的な未払費用を確認した上で、人件費の未払費用を計上する方法を紹介します。
未払費用計上の基本
継続的な取引から生じる債務の当期未払分というのが、未払費用計上の基本です。たとえば、通信費や水道光熱費、消耗品、借入利息などの費用で、当期末まで利用したものの支払期日が翌期に到来するため未払いというものが該当します。
厳密には
- 当期末までに債務が確定しているもの
- 当期末までに債務に基づいて給付すべき原因が発生していること
- 金額を合理的に算定できるもの
ということが条件となります。
見落としがちな未払費用とは?
見落としがちな未払費用は、ずばりクレジットカード決済の費用です。クレジットカード決済の場合、利用月の翌月の支払分を計上するのは当然ですが、タイミングによっては翌々月の支払いになることもあります。
当期末までに利用して支払うべき金額が確定していれば当期に未払計上できますから、翌々月の支払いであろうが、利用月がいつなのかをしっかり確認して計上しなければなりません。
人件費の未払分を計上するには
人件費についても未払分があれば当期に費用計上できます。
まず、通常の給与については、当月末締め当月払い以外の場合、ということになります。たとえば、当月15日締め25日払い、という場合は、16日から末日までの分を日割りして当期分として費用計上することができます。当月25日締め末日払い、という場合は、26日から末日までの分、逆に当月末締め翌月5日払い、という場合は、1カ月分が全額未払計上できることになります。
次に、賞与についてです。これも、従業員の賞与に限り、日割りで未払い計上できます。たとえば、1月から6月までの分を7月賞与で支払う場合で、6月決算の会社であれば、1月から6月までの賞与を全額未払計上できます。ただし、翌期首1月以内に支払うことが条件になっているので、5月決算の会社の場合は未払い賞与を計上したいならば、6月中に支払う必要があります。
最後に、社会保険料の未払い分についてです。社会保険料は、現金主義による経理処理も認められていますが、原則的には当月の社会保険料を翌月末に納付ということになっています。そのため、当期末日に在籍する従業員の当月分の社会保険料のうち、会社負担分を未払い計上することが可能です。
なお、これらの未払計上は継続適用することが条件となります。
まとめ
当期末までに債務が確定し、支払いも確定している費用については余すことなく計上するのは節税の基本です。クレジットカード支払分や、人件費の日割り分、とくに従業員賞与についてはきちんと計上したいものです。