親からの住宅資金援助分を借金として贈与税を節税する方法

贈与税の節税方法として、親からの住宅資金援助分を親からの借金とする方法もあります。親子間のお金の貸し借りは税務署では認めないという人もいますが、そんなことはありません。

言い方は悪いですが、銀行からの住宅ローンも高金利のカードローンも親からの借金も全て法律上は借金ですから、一定の条件を満たせば税務署は認めてくれます。

これを利用してマイホーム購入時の親からの援助について借金として、贈与税を節税する方法を今回は具体的にご紹介します。

目次

親からお金を借りたことは税務署は認めてくれる

先程も触れたとおり、親から借りようがどこから借りようが、借金は借金ですし、住宅ローンも借金の一種です

親からお金を借りることは実質的に親からの贈与だから、という理由で税務署は全て認めないというわけではありません。

お金を借りることを法律上は「金銭消費貸借契約」と言いますが、この契約の形さえしっかり整えれば良いのです。

ただし、本当は親からもらったお金なのに形だけ借りた状態にして、贈与されたものではなく借りたものだと主張して脱税(脱税と節税は違います)を狙う人もいます。そのため、税務署では親子など親族間で無利子の金銭消費貸借契約があった場合、実際贈与であることを隠して税金逃れをするためのものである恐れがあるために厳しくチェックをしているという背景があります。

そして、税務署が調査していくうちに金銭消費貸借契約ではなく実質的には贈与だという証拠があった場合、もしくは具体的には借金を返した事実がない、子供の収入に見合った借金額ではない等という事実が発見された場合には、税務署は金銭消費貸借契約ではなく実質的な贈与だと判断し贈与税を課税します。

そのため、この場合は親からお金を借りたという契約形式だけではなく、中身もしっかりと金銭消費貸借契約の実態を伴うものにしておく必要があります。

以下では税務署に親からの借金だと認めてもらう具体的な方法をご紹介していきます。

税務署に住宅資金援助分を親からの借金と認めてもらう方法

具体的に住宅資金援助文を親からの借金だということを認めてもらうには形式面と実質面をしっかりと整える必要があります。両者でそれぞれ押さえておきたいポイントについてご紹介します。

形式面

借用証書はきちんと作成する

一応、法律上はお金の貸し借りは口約束でも良いことになっています。しかし、先程もお話しした通り、親からの借金に関しては税務署は細かいところまでしっかりと調査を行うため、形式上きちんと借用証書や金銭消費貸借契約書といったタイトルで文書を残しておくことが大切です。

返済が不可能な金額、返済期限がない等の条件を設定しない

親以外から借りる住宅ローン、カードローン、クレジットカードのキャッシング枠、そのどれを見ても年収から見て返せると審査された範囲内でしか貸してくれませんよね。

これは親からの借金でも同様です。返済が不可能な高額な借金は一般のお金の貸し借りの契約では最初から認めてもらえません。

年収から見て不釣り合いなほどの金額を親から借りた場合、税務署は実質的な贈与だと判断する可能性が大きくなるため、返済計画が立つ範囲の金額にとどめておくことが大切です。

また、返済期限がないといったお金の貸し借りも一般的な社会常識ではあり得ません。契約書にしっかりと返済期限(毎月月末払い、いつまでに完済)等の条件を記載しておく必要があります。

実質面

返済の履歴がしっかり残るようにする

借金は基本的に分割払いで返していくようになっていますから、返済履歴をしっかり残しておくことが大切です。

税務署は返済履歴=返済実績であるという判断を行いますから、ここをきっちり残しておかないと実質的な贈与だと判定されます。

毎月毎月領収書を書いてもらっても良いのですが、銀行振り込みで毎月元本+利子の低額を振り込むとしておけば、双方の通帳に振込履歴が残りますから手間がかからないでしょう。

金利は必ず設定しておく

普通、親が子供に物を貸す場合、使用料等は取らないのが一般的ですよね。
親が持っているアパートの一室に子供家族を住ませる場合や、車や土地を貸しても使用料を取らないかほとんどタダ同然という例はいくつもあります。

しかし税務上これらのような”親から子への利益供与”は贈与とみなされています。ではなぜ多くの場合贈与税が課せられないかというと、利益が少額である、課税上弊害がないと認められているケースは贈与税を課税しないという取り扱いをされているからです。そもそも贈与税には110万円/年の基礎控除がありますから、少額であれば問題がないという考え方ですね。

しかし、利息を付けないで親子間のお金の貸し借りがあった場合、贈与の可能性があるため調査するようにという通達が税務当局で出されています。

そのため住宅資金の援助のような比較的高額なお金のやり取りの場合は、やはり金利は設定しておくべきです。

金利の設定については一般の市中銀行等のローン金利を参考にしておけば十分です。参考までに住宅資金援助の場合は本記事作成時点(令和元年7月)でおおむね0.5%~1.0%、ただし与信により異なる)、自動車ローンで2.5%~3.5%程度です。

尚、先に述べた無利子の借入金について「課税上弊害がないと認められる場合」とはどういう場合かについては、法律にもどこにもはっきり書かれていません。税務署の判断次第という面があります。

しかし、経済的な実質を考えると、現在は定期預金にお金を入れていても利率で0.1~0.3%程度、10年物国債利回りも1%を切っていますから、子供に貸して0.5%でも金利がついていれば、その金利分は親孝行になるのが実態でしょうから、税務署に贈与と判定される可能性は低くなります。

税務署の裁決等を参考にすると上記の点からきちんとしたお金の貸し借りなのか、親子間の贈与かなのかを判断しているものと思われます。

まとめ

親子間のお金の貸し借りとして、贈与ではないとしておき、税務署にもきちんとした金銭消費貸借契約と認められれば贈与税は課税されません。

ただしこの方法をとる場合は、税務署は実質的な金銭の贈与ではないかという目で審査しますから、契約書等の形式面、返済実績等の実質面、両方をしっかり整えておくことが必要であることにご注意ください。

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この記事を書いた人

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