マイホーム/住宅購入時、親からの資金援助の贈与税の基本と計算方法

マイホームの購入は人生で一番大きな金額の買い物ですよね。

その際の購入資金は住宅ローンを利用する方が多いですが、ローンを組む際の頭金や住宅購入資金の一部として、ローン申し込み前にある程度まとまったお金が必要になります。

このお金をご両親からの援助でまかなっている方もいまだに多いですが、それについても税金がかかってしまうことはご存知でしたか?

今回こちらの記事ではマイホームの住宅購入時、資金援助を受けた場合の贈与税についての基礎〜節税の方法をお教えします。

目次

都市部の住宅価格は上昇中

最初に以下の表をご覧ください。

この表は東京都23区の新築マンションの平均価格と、総務省の家計調査による勤労世帯の実収入のうち、勤め先からの収入(≒給与収入。統計表数値に12カ月をかけた推定平均給与年収)の月額平均額を比較したものです。
※新築マンション平均価格は株式会社マーキュリー調べ

新築マンション平均価格は単純に年度内平均ですから、立地条件やグレードによってばらつきもややありますが、おおむね上昇傾向、平成30年度と平成26年度を比較すると5年間で約3割上昇しています。

その一方で、推定される平均年収は5年間で4%ほどしか上昇していません。この平均年収の元となった統計調査は勤労世帯全ての平均値ですから、マイホームを購入されることが多い30~40代の年収平均はこれよりもっと伸び率が低い可能性もあります。

この表から見てわかることは平成30年度の新築マンション平均価格から見ると、購入価格の80%を住宅ローンでまかなうとしても、頭金だけで1,000万を超える金額を現金で用意しておかなければならない計算になります。

尚、中古マンションという選択肢も東京都では増えてきましたが、中古マンション価格もアベノミクス以降上昇を続けています。

給与所得の中から生活費を払い、今の住まいの家賃を払い、さらにこれだけの金額の頭金を用意するとなると、何年かかるか分からないという見通しになってしまいますよね。

そのため現在でも住宅購入時に親の資金援助を受けるケースはまだまだ多いのです。

両親からの資金援助を受ける場合の贈与税の原則

しかし、親からの資金援助は法律上「贈与」とみなされますから、素直に資金援助を受けると高額の贈与税がかかってきます。

下記で解説しますが、平成28年以降贈与税は「一般贈与財産(特例贈与財産に当たらないもの)と、「特例贈与財産(祖父母、父母など直系尊属からの贈与)」に分かれて計算されるようになっており、住宅購入時の親から受ける資金援助はほとんどが「特例贈与財産」に該当します。

特例贈与財産は一般贈与財産に比較して税率が低く、基礎控除額も大きくなっているとはいえ、最低でも10%、最高で55%の税金が課せられます。

仮に1,000万円の資金援助を親から受けたとすると、課税される贈与税額は177万円となってしまいますから、原則としては約18%を税金で持っていかれる計算になります。

親・祖父母からの住宅資金援助にかかる贈与税は一定額まで非課税になる制度がある

上の計算が贈与税の原則ですが、これでは親から資金援助を受ける意味が薄れてしまいますし、一般的なサラリーマンがマイホームを持つことがより難しくなってしまいます。そのため、住宅購入資金にかかる贈与税には非課税枠が設けられています。これは少々複雑ですから、下記記事で解説します。

贈与税の計算方法の原則

贈与税とは贈与を「受けた」人が払う税金です。
毎年1月1日から12月31日までの間に、その人が贈与を受けたお金や物を合計して、基礎控除の110万円を控除してその残りに税率をかけて計算し、翌年の2月10日から3月15日までに申告・納税を行います。

よって、贈与税の原則的な計算式は以下の通りになります。

(その年に贈与された金額-基礎控除110万円)×税率-控除額

ここで注意していただきたいのは、基礎控除の110万円は「その年に贈与された金額の合計」から引くということです。

例えば、ある年に親から100万円、兄弟から50万円、配偶者の実家から30万円をもらったとしましょう。それぞれの金額は110万円以下だから基礎控除より小さく贈与税はかからないとしては行けません。

合計ですから、親からの100万円+兄弟からの50万円+配偶者の実家からの30万円=180万円から基礎控除の110万円を引き、それに税率をかけるのです。

お話ししたように、平成28年以降の贈与税は一般贈与財産と特例贈与財産に分かれて課税されるようになっており、税率や控除額は以下のとおりとなっています。

  • 一般贈与財産(直系尊属以外からの贈与にかかる)
  • 特例贈与財産(直系尊属からの贈与にかかる)

上の表に従った計算例の紹介として、ご両親から1,000万円の贈与を受けたとしましょう。
まずご両親からの贈与ですから、特例贈与財産に該当します。

1,000万円から基礎控除110万円を引き、基礎控除後の課税価格は890万円です。
890万円は600万円を超え1,000万円、税率30%、控除額90万円ですから、贈与税額は

(贈与額1,000万円-基礎控除110万円)×税率30%-控除額90万円=1,770,000円

という計算になります。

まとめ

ここでは、贈与税の原則をお話ししました。これ以降の記事では、住宅購入資金の祖父母・父母からの援助の特例についてお話しします。

消費税率の改正と共に制度もやや複雑になっていますが、知らないと大きな損をする可能性がありますから、十分ご理解くださればと思います。

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この記事を書いた人

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