【固定資産課税台帳の読み方】不動産取得税/登録免許税/固定資産税とは?

不動産を購入した時、通常は所有権移転の登記をしますから、この時に登録免許税を納付しなければなりません。
また、不動産を購入したという取引に関して、不動産取得税が課せられます。

更に、これは保有期間中の話ですが、不動産を保有していれば毎年固定資産税と都市計画税(都市計画税に関しては持っている不動産によっては課税されないケースもあります)を納付しなければなりません。

不動産購入時にはこれらの税金を織り込んで計画を立てておかなければなりません。

これらの税金は、固定資産課税台帳に記載されている評価額を基礎として計算されます。
そのため、ここでは固定資産課税台帳の基本的な読み方をお話しします。

目次

固定資産課税台帳の概要

固定資産課税台帳には「土地課税台帳」と「家屋課税台帳」があり、その年の固定資産税評価額や固定資産税・都市計画税の税額が記載されてます。
これと同じ内容が固定資産の納税通知書に記載されており、納税通知書は毎年1月1日時点の不動産の所有者に送付されます。

固定資産税は市区町村が課税するものですから自治体によって書式に違いはあるのですが、記載されている内容は全国でほぼ同じです。

以下、東京都の書式例でお話しします。

土地課税台帳の記載例(東京都)

東京都では土地課税台帳は以下のとおりとなっています。尚、横に長い書式ですから記事の表示都合上二段に分けています。実際は一段目の後に二段目が直接続いてきます。

①土地の所在は登記簿上の地番が表示されます。住居表示ではありません。

②地目は登記地目と現況地目に分けて記載されています。固定資産税の課税は現況をとりますので、登記簿上の地目が山林であったとしても現況が宅地であれば、宅地並の課税をされます。

③登記地積と現況地積が記載されています。詳しくは省略しますが、登記簿に記載されている面積は必ずしも土地の正しい面積を示しているわけではないため、課税は現況地積で行われます。

④価格は本年度の固定資産税評価額が記載されます。固定資産税評価額の求め方の基本は「前面固定資産税路線価×地積」です。尚、固定資産税路線価は地価公示・地価調査等の公示価格水準の70%を標準に設定されます。これが固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税等の課税標準を算出する基礎となります。

⑤⑥固定本則課税標準額及び都計本則課税標準額は、少々ややこしいですが小規模住宅用地等の評価減を加味した価格です。東京都の場合、住宅用地については⑤の固定資産税の課税標準額(課税標準額に税率をかけたものが税額です)が価格の1/3となり、200㎡未満の小規模住宅用地は1/6となります。

家屋課税台帳の記載例(東京都)

東京都では家屋課税台帳は以下のとおりとなります。尚、これも実際は一段目の右に二段目がつながります。

尚、家屋の評価額は、基準年度の再建築費(その時点でその建物を新しく建てるとしたらいくらかかるかという課税上の金額)から、新築年度から現在までの時間の経過による減価分を引いて求めることとなっています。

尚、この「時間の経過」が曲者で、経済実態的には例えば木造戸建て住宅で50年も経過すればほとんど実際の取引市場では値段がつかず、建物はゼロ円として取引されるのが通常です。

しかし、これは「経済価値(取引市場で値段がつくかという意味)」で、固定資産税等の課税上は「利用価値(取引市場で値段がつかなくても利用することができるという意味)」で課税しますから、50年を経過した木造戸建住宅であっても20%の残存価値はあるものとして価格が決定されます。

何故20%なのかは筆者も不明ですが、要するに普通に建物を使用し続けられるのであれば、20%程度の価値は見ても良いであろうということのようです。

固定資産課税台帳はどうすれば見られるのか

市町村は、固定資産の価格等を決定して固定資産課税台帳に登録した時、「土地価格等縦覧帳簿」「家屋価格等縦覧帳簿」という帳簿を毎年3月31日までに作成し、毎年4月1日から20日または最初の納期限のどちらか遅い方の日までの間、納税者の縦覧に供するということになっています。

しかし、この縦覧帳簿には価格等は表示されていますが、課税標準や実際の税額は記載されていません。

尚、他の人の持っている不動産と価格の均衡が取れているかを納税者がチェックできるように、自分の持っている不動産と同一市町村内であれば他の土地や家屋の価格等も見ることができます。

ただし、上記に書いてあるようにこの縦覧帳簿を見ることができる期間は限られています。

しかし、固定資産課税台帳であれば閲覧期間の制限はありません。

ところが、固定資産課税台帳に関しては見ることができる人が限られています。固定資産課税台帳を見ることができる人は、固定資産税の納税者のほか、その不動産を借りている借地人・借家人、納税者の破産管財人や会社更生法の管財人、民事再生法の保全管理人等、その不動産と利害関係を有している人に限られます。

尚、売買契約時の買い希望者はこの固定資産課税台帳を見ることはできません。
そのため、売買契約締結前に売主から納税通知書等の提供を受けて評価額をチェックしておくことが必要になります。

少々細かい話になりましたが、固定資産税評価額が不動産取得時、取得後のあらゆる税金の基礎になってきますので、税金計画の観点から知っておいていただきたいと思います。

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