近年、特に東京都心部では新築の一戸建やマンションの価格が高騰していて、夫婦で住宅ローンを受ける際に主たる債務者である夫だけでなく奥さんにも連帯保証人となってもらう、果ては夫も妻も同じ立場の債務者としなければローンが受けられないようなケースも見られるようになっています。
保証人、特に連帯保証人となると重い責任が負わされますから、いくら配偶者や家族であっても引き受けるのは嫌だということもあるでしょう。
では、不動産投資のための融資においても、保証人がいないと絶対に融資は受けられないのでしょうか。
本記事では不動産投資のための融資における保証人について詳しく解説します。
個人名義で融資を受ける際には基本的に保証人が必要
個人で融資を受ける場合、原則として金融機関は法定相続人(配偶者、子供等)に連帯保証人になってもらうように求めます。
借入名義者が将来死亡するなど、万が一の場合にローン債務を相続してもらう必要があるというのが保証人を求める理由ですが、連帯保証人となると基本的には債務者と同じ責任を負います。
債務者のローン返済が遅れたら即座に代わって返済することを求められますし、財産の差し押さえを受けることすらあります。
そのため、昨今はこのように重い責任を負う連帯保証という制度に対して批判が強まってきていますが、制度自体はそのまま生きていますのでこのような状況は変わっていませんし近い将来変わる気配もありません。
基本的には個人で不動産投資を始める場合、配偶者や子供等家族に対して十分説明をして理解と協力を得ておくということが必要になります。
お金の面だけではなく、休日に家族サービスを減らして物件を見に行ったり管理会社と相談したり勉強したりといった活用が難しくなります。
個人で不動産投資を行う場合、原則として保証人が必要なことには変わりはありませんから、家族の理解を得ることはある意味物件取得以上に優先すべきことと言えるでしょう。
団信に入ることで保証人不要となることもある
しかし、どうしても家族が保証人を引き受けてくれないケースや、独身で保証人を頼むことができる相手すらいないという場合もあるでしょう。
そのようなときは、団体信用生命保険(略して「団信」と言います)に加入することで保証人が不要となります。
団信とは、ローンの債務者がローン返済中に死亡したり、高度障害者になってしまったりしたときにローンの残額を肩代わりしてもらえる保険制度です。
本来は債務者に万が一のことが起こっても、残された家族が住宅ローン返済で経済的に破たんしないようにするための保険で、住宅ローンに対応するためのものですが、パッケージ型のローンであるアパートローンにも対応しています。
団信加入した際に多少金利が上昇することや、融資限度額が基本的に1億円、金融機関によって3億円までと上限が設定されること、前述のようにパッケージ型ローンにしか対応しておらず、オーダーメイド型のローンは受けられないことといったデメリットがあります。
保証人をつけたくなければ不動産投資のための法人を作るという方法もある
法人税と個人の所得税との税額のバランスといった問題もありますが、どうしても保証人をつけたくなければ、不動産投資のための法人を設立してその法人名義で物件を購入することで家族を保証人にしなくても融資を受けられます。
この場合、法人名義で融資を受けて物件を購入し、その法人の代表者である自分自身が連帯保証人になることになります。代表者が自分自身でも、法律上法人と個人は別人格とみなされますからできる方法です。
これによって実質的に保証人なしで融資を受けられることになります。旧来は法人名義で物件を購入する際にも家族を保証人にすることが求められていましたが、最近は不要なケースがほとんどです。
この背景には、日本の中小企業の代表者の保証債務が重すぎたため、平成26年頃から金融庁のガイドラインによって、原則として中小企業のオーナー社長の連帯保証を外す方向に政策が転換したことがあります。
もちろんこの方法を実行するためには、法人設立のための費用(登録免許税等)が必要にはなりますが、多くの場合物件購入のための費用と比較すると軽微です。
不動産投資家である程度の規模の資産額やキャッシュフローを達成している方は多く実行している方法ですので、検討してみる価値はあるでしょう。
まとめ
- 個人での借入の場合は保証人は原則必要だが、団信に加入すれば保証人不要となる場合がある
- 不動産投資のための団信加入にはデメリットもあるので十分検討を
- 保証人を立てられない場合、不動産投資用の法人を設立するという方法もある
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