中古物件の減価償却費の計算の仕方。耐用年数とは?4つ例を用いて解説!

不動産運営の3大経費は、固定資産税、借入金利、減価償却費です。

これらの中でも最も大きい必要経費は減価償却費であることが多く、経費の3割程度を占めています。

減価償却費とは、購入した不動産を購入した年に一括して費用として計上するのではなく、将来にわたって利用可能な年月にわけて、毎年費用として計上しようというものです。

この減価償却費をコントロールすることができると、税金をコントロールすることができるようになります。

今回は、中古物件購入時の減価償却費の工夫の仕方について、具体的な計算方法を用いながら説明していきます。

目次

 中古物件の耐用年数の見積法

耐用年数によって減価償却費が算出されますが、建物が中古の場合は、その建物の使用可能期間を見積もることによって耐用年数を決めます。この方法を見積法といいます。

しかし、その建物があとどれだけ使用可能かを見積もることは難しいので、税法では中古建物の耐用年数を簡単に算出するために、簡便法を用います。

国税庁のホームページにも記載がありますが、まず、中古資産の耐用年数の計算方法は以下の通りです。

①法定耐用年数の全部を経過した資産

法定耐用年数の20%に相当する年数とします。

築50年の一棟RCマンション

耐用年数 = RC造の法定耐用年数47年 × 20% = 8.4年 ⇒ 8年(※)


(※)①、②の計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数は切り捨て。年数が2年に満たない場合には2年とします。

②法定耐用年数の一部を経過した資産

法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数とします。

築10年の一棟RCマンション

耐用年数 =(RC造の法定耐用年数47年 – 築年数10年)+ 築年数10年 × 20%

=47 – 10 + 10 × 20% = 39年

中古物件の減価償却費の計算方法

では、この耐用年数を使って中古建物の減価償却費を計算していきます。

例えば、1億円の土地付き築年数10年のRC物件を購入したとします。まず、RCで築10年ですので、耐用年数は39年です。

耐用年数39年の償却率は0.026ですが、購入した物件は、土地付きの物件なので、1億円を土地と建物に分ける必要があります。

減価償却をすることができるのは建物だけですので、1億円のうち建物の割合が高ければ、減価償却費も多くなり、その効果は物件を持っている間、耐用年数が終わるまで続くことになります。

この土地と建物を分ける方法はいくつかあります。

①売買契約書に土地建物の金額が記載されている場合

売買契約書に土地5千万円、建物5千万円と金額が記載されている場合は、その金額が土地と建物の金額になります。したがって建物の金額は5千万円となり、減価償却費は次のようになります。

建物5千万円 × 償却率0.026(耐用年数39年)= 130万円/年

②売買契約書に土地建物の金額が記載されていない場合

売買契約書に土地と建物の金額が総額で1億円と記載されている場合は、合理的な方法で土地と建物の金額を算出しないといけません。

最も代表的な方法は、固定資産税評価額を使って按分する方法です。

1億円で購入した物件の固定資産税評価額が土地建物7千万円で、その内訳が土地4割の2,800万円、建物6割の4,200万円だとすると、減価償却費は次のようになります。

土地建物1億円×60%(建物の固定資産税評価額4,200万円÷土地建物の固定資産税評価額7,000万円)= 建物の金額6,000万円

この場合の減価償却費は、次のようになります。

建物6,000万円 × 償却率0.026(耐用年数39年)= 156万円/年

減価償却費を考慮して事業計画を作る

さらに、建物の固定資産税評価額に消費税率を加算して計算すると、建物割合を大きくすることができます。

今後、消費税率が上がると、建物割合もその分高くなりますので、減価償却費を少しでも大きくしたい人に有利に働きます。

このように中古物件の場合は、建物の金額をいくらにするかで減価償却費が変わることになります。

物件購入時に、建物の金額を売主と交渉して売買契約書に建物価格を記載することにより、購入後の減価償却費を事前にコントロールすることができることになります。

不動産を購入する前から、減価償却を含めた事業計画を立てておくことが重要といえるでしょう。

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