大量に商品を仕入れた場合、取引先から金銭などを受け取ることがあります。いわゆるリベートと呼ばれるものですが、これは受け取った時に雑収入に計上するより、仕入高から控除した方が節税になります。
収入に含めようが、経費から引こうが結局利益は同じでしょ?と思うかも知れませんが、リベートによる節税には、期末の棚卸資産が絡んでいます。他にも期末の棚卸資産をうまく利用すれば、翌期に利益を繰り延べて節税することができます。
棚卸資産を利用して節税する仕組み~翌期に利益を繰り延べる
リベートを雑収入に計上した場合と、仕入高から控除した場合とを数値を使って比較してみます。リベート率は10%とします。
雑収入にした場合も、仕入高から控除した場合も、当期の仕入高1000に対するリベートは100です。売上も同じで条件は変わらないにも関わらず、計上方法を変えるだけで、仕入高から控除した場合の方が雑収入にした場合に比べ30の利益圧縮となっています。これは、なぜかと言うと、期末棚卸資産の評価が30下がっているからなのです。期末棚卸資産は、経費から控除しますので、評価が下がっているということは、その分経費が多くなり、今期の利益は圧縮されます。では、圧縮された利益分はどうなるかと言うと、今期の期末棚卸資産は翌期に期首棚卸資産となって、仕入高に加算されますから、翌期以降に繰り延べられることになります。
棚卸資産を利用した他の節税方法は?
期末棚卸資産を利用して節税する方法は、リベートの計上方法を変える方法だけではありません。もっと単純な方法には、棚卸資産の評価方法を変えてしまう、という方法もあります。
期末棚卸資産の評価を低くして今期の利益を圧縮すればいいのですから、仕入れた原価がどのように推移しているかによって節税になりうる評価方法は変わります。税務上、個別法、先入先出法、最終仕入原価法、総平均法、移動平均法、売価還元法が認められています。
個別法は一個ずつ評価する方法、先入先出法は最も古いものの単価から原価に組み入れる方法、最終仕入原価法は逆に最後に仕入れた単価を原価とする方法、総平均法はすべて平均して単価を求める方法、移動平均法は仕入のその時々で単価を計算する方法、売価還元法は売価から原価率を乗じて原価を計算する方法です。
たとえば、期中に仕入単価が上がっていくような状況であれば、最終仕入原価法が有利ですし、逆に仕入単価が下がっていくような状況であれば、先入先出法が有利となるわけです。
ただし、評価方法は期中に変更することはできず、予め仕入状況を予測して前期までに評価方法を届け出る必要があります。
その他、棚卸資産を利用した節税には、評価損を計上する方法もあります。棚卸資産が陳腐化しているような場合、時価評価して評価損を計上する方法ですが、これには税務調査で否認のリスクもあるので注意が必要です。評価損を計上したい場合は、棚卸資産の時価評価を認めている低価法による評価を選択適用する届出をするのがよいと言えます。
まとめ
リベートを受け取っている場合など、棚卸資産に利益を乗せて翌期に繰り延べる節税方法をうまく活用して節税しましょう。