不動産投資は「RC物件」と「木造物件」のどちらが良いか?

不動産投資すると決めた時に、木造物件とRC物件のどちらがいいかと多くの人が悩むことと思います。

両方にメリット・デメリットがありますが、どちらが現在の自分にとって魅力的か知る必要があります。

今回は、それぞれのメリット・デメリットと、それらを踏まえた戦略を紹介していきたいと思います。

目次

 RC物件のメリット

まず、RC造の物件を購入するメリットをみていきます。大きく分けて以下の5つが挙げられます。

耐久性・耐火性がある

RCは高価である一方、強度なコンクリートと鉄筋を組み合わせて建設されており、耐火性能に優れています。

また室内の機密性が高く、冷暖房を使って室内温度もコントロールもしやすいため、省エネ効果も期待できます。

耐震性・防音に優れている

RCは一般的に数十年~百年間住み続けられる耐久性があり、地震にも強い建築構造です。

実際、東日本大震災の際でも最も被害が少なかったという調査結果あります。

また木造物件と比較して遮音性能にも優れています。

資産価値・賃料が下がりにくい

建築から時間が経てば経つほど家賃は下がる傾向がありますが、RC物件は賃料の下落が少ない傾向にあります。

また木造物件の家賃は建設から10年で95%程度に下落するのに対し、RC物件の下落幅は小さいです。

その傾向は、築20年を超えるとさらに顕著なものになります。

長期融資が引きやすい

耐用年数が長いため、長期融資を引くことが可能です。

RC造は、耐用年数が47年ですので、理論的にはRC造で築20年以下であれば返済期間が27年以上の融資を受ける事が可能です。

賃貸で入居付けに有利

入居者に人気があるのはRC造です。

特に同じ築古物件となると、RC造の方が入居者が集まりやすい傾向にあります。

 RC物件のデメリット

一方、RC物件のデメリット次の3つです。

①修繕費や維持費が高い

建物規模が大きくなるので、当然ながら共用部分に関わる経費が多くなることです。

エレベーター、受電設備、浄水タンクなど、木造の小規模不動産ではなかったような経費がかかってきます。

清掃代、セキュリティを維持するための保守管理料もあります。

さらに、築30年以上になっても、木造のように壊すという選択肢がないため、配管工事や外壁の大規模修繕などが発生してきます。

ただし、こうした経費もRCは高めの家賃設定ができるため、家賃収入で回収できるので、収益力のある物件さえ買えば、大きな損失になることはないでしょう。

②物件価格・固定資産税が高額

RC物件では、物件あたりの建築費用が高くなる分、それが購入価格にも反映される格好になってしまいます。

また、木造に比べ、建物評価が高くなるため、その分固定資産税が多くなります。

③収益効率(利回り)が悪い

上記のように、物件価格は高額になるため、利回りも自然と木造より劣ることになってしまいます。

ただし、RCは融資が組みやすく、転売も容易であるなどのメリットがあるのですが、やはり視点が長期になってしまい、短期的にキャッシュを生みたいという人には向かないと思われます。

木造物件のメリット

ここからは、木造物件について見ていくことにします。

木造物件を購入するメリットは次の5つです。

①購入価格が安い

木造物件の一番の魅力は手軽な購入価格と利回りの高さを上げることができます。

一般的にRCアパートの建設に必要な額は、1坪(約3.3㎡)あたり約60万円と言われています。

それに対して木造アパートは1坪あたりの工事費は約50万円です。

アパート立地や周辺の開発状況にもよりますが、一般に毎月の家賃4万程度で物件を運用する場合は木造、6万円以上で運用する場合にはRCの物件が適していると言われています。

②減価償却が早い

減価償却費を計算する上で必要なのが法定耐用年数ですが、「RC物件は47年」「木造物件は22年」と構造ごとに決められており、木造物件は減価償却が早いため、RC物件と比べると節税効果が高くなります。

③修繕しやすい

また、修繕費の面から見ても、木造は建築構造が単純なため、リフォームやメンテナンスがしやすいという特徴があります。

④固定資産税が安い

木造物件は、各市町村に毎年支払う固定資産税が安いのも魅力です。

固定資産税は、毎年発表される地価公示価格を元にして決められた固定資産税評価額に、1.4%の税率を掛けた額が課税されます。

一般に固定資産税評価額は不動産価格の60~70%、新築時の建設価格の50%程度と言われています。

木造物件は、制度上は経年劣化が早いとみなされ、納税額をおさえられます。

⑤維持コストが低い

木造建築は、構造的に大規模化できないという制約があるため、受電設備、受水層、エレベーターなどは不要になります。

その分、共用電灯の消費電力も小さく、RC造と比較し、維持コストを抑えることができます。

木造物件のデメリット

一方、木造物件を購入するデメリットとしては次の4つです。

①耐用年数が短い

木造物件の法定耐用年数が22年と短いので、減価償却費を多く計上できるのですが、長期の融資を引く事が困難になります。

銀行は耐用年数までの期間しか融資を出してくれないところが多く、築22年の木造アパートは銀行での融資が難しいのが現実です。

②積算評価が低い

上記の通り減価償却が早いので、金融機関での積算評価がでにくく、融資を引きづらいことが多いです。

築20年近い木造アパートの場合、建物価格がほとんどなく、土地値での価値しか認められない事が多くなってしまいます。

③火事に弱い

一般の木造建物は火に弱いことになります。

比較的新しい木造建物の場合、外壁には燃えにくい材料が使用されており、内装も燃えにくい石膏ボードで作られていますが、構造部材が木なので火事に弱いことには変わりありません。

ただ、木造でも耐火構造や準耐火構造も可能なので、費用をかければ比較的火に強い木造建物の建設も可能です。

④防音・遮音性能が劣る

木造は材料自体が軽いため、防音・遮音性能があまり期待できません。

木造壁は芯材を内装パネルでサンドイッチしただけの構造なので、防音・遮音性能はあまり期待できません。

RC物件・木造物件のバランス戦略

これまで説明してきた通り、RCも木造もそれぞれメリット・デメリットがありますが、おすすめするのは、それぞれの特徴を把握し、それらを組み合わせた戦略です。

要するに、不動産投資全体のバランスを考えることが重要になってきます。

不動産投資で資産規模を拡大したくても、「RC造ばかりに投資しすぎて、次の物件に融資がつかない」、「木造ばかりに投資しすぎて、資産の拡大スピードが遅い」といった具合に拡大段階でつまずくことがあります。

そういった事態を回避し、順調に不動産投資を進めていくために、投資全体のバランスを考え、様々な物件を組み合わせることがカギになります。

それぞれの特徴は次の通りです。

  • RCは法定耐用年数が長く、長期に融資を組めるために少ない自己資金で物件を買うことができます。
  • RC造は、資産価値が高いのが特徴で、その資産価値をもとに、次の物件の融資を受けることができます。
  • RC造はアクセル=物件をどんどん増やしていきたい場合はRCが適しています。

ところが、RCを低金利で長期ローンを組んで購入すると、RCの減価償却期間は47年と長いため1年当たりの減価償却の金額は少なく、経費計上が抑えられることになり、資産規模は拡大できたとしても所得税・住民税の支払いが多くなるため、手元キャッシュがあまり厚くなりません。

一方、木造(特に築古の場合)は資産価値が低いのが特徴です。

建物価値はゼロに近く、土地値程度です。

ただその分税金がかからないので、キャッシュを貯めるのに適しています。

バランス戦略が重要な理由

なぜ不動産投資で、物件を組み合わせる必要があるのでしょうか?

アクセルを踏み続けると、確かに資産規模は拡大できますが、RC造は減価償却期間が長いため、1年あたりの償却額が少なくなります。

つまり、家賃収入を得ても税金が多くかかり、キャッシュが残りづらいのです。

そこで、ある程度自己資金が貯まった段階で、木造物件を購入することにします。

一時的に自己資金がなくなり、他の物件を購入できなくなるので資産規模の拡大にはブレーキを踏むことになりますが、木造は減価償却期間が短いため、1年あたりの償却額が多くなります。

築古の木造の場合、償却期間が短いため多額の減価償却費が計上できるため、税金の額を減らすことができ、その分節税になるため、キャッシュが貯まりやすいのです。

木造物件を買ってキャッシュを貯めて、その木造で貯めたキャッシュでRC造物件を購入するといった具合に、「アクセル」と「ブレーキ」を交互に組み合わせて投資を進めていくことが有効です。

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