収益物件をグンっと高値で売却する4つの方法。賃料,空室率を下げるコツは?

物件を売却する際は、土地建物一体として収益物件のまま売った方が良い場合と、建物を取り壊して更地として売った方が良い場合の二通りあることをお話ししました。

初めてこの記事を読む前に、こちらの記事から読むことをおすすめしておきます。

売却時に建物を取り壊すかどうかの判断基準

それぞれの場合でしておかなければならない準備がありますが、それはお互い相容れない内容です。
より高値で売却する際に物件の管理運営方針も事前に十分考えておかなければなりません。

目次

収益物件としてより高値で売却するためには

基本的に収益物件の価格はこれまでにもお話ししてきたとおり、

賃料収入÷利回り

で決まります。

ですから、収益物件のままでより高値で売却しようと思うのであれば、

  1. 入居率を上げること(=空室率を下げること)
  2. 賃料自体を上げること
  3. 業種の入れ替え(店舗部分がある場合)
  4. 修繕を行う

の4つのアプローチが必要になります。

それぞれ解説していきます。

①空室率を下げる

まず、①の入居率については空室が多い物件はそれだけ買主にとっての収入が下がるわけですから高い値段はつきにくくなります。あまりにも入居率が低いとそもそも買い手がつかないということにもなりかねません。

当然最善の状態は満室で売却することですから、できるだけ満室に近づけるようにする必要があります。尚、実際の取引の現場では満室かつ入居者が購入後1年以内で出ていく見込みがないと思われるような物件では、その物件の地域の利回りよりも大体1割程度低い表面利回りでも売却できるケースがあります。

これは恐らく買主にとっての収益の安定性が評価されてより高い価格で売却できているケースと考えられますが、表面利回りが1割下がれば理論的には価格は1割上がるわけですから、やはり売却時に満室稼働していることを目指すべきです。

②賃料自体を上げる

賃料を上げることについては、もうお分かりですね。「賃料収入÷利回り」で収益物件の価格が決まるわけですから、分子である賃料収入が大きければ大きいほど、利回りが同じでも価格は高くなるからです。

そのため、収益物件として売るのであればできるだけ高い賃料で入居してもらうべきなのですが、あまりにも相場とかけ離れた賃料設定にするとそもそも入居者がつかなくなり、空室率が上がってしまうという賃料と空室率のトレード・オフの状態になりかねませんから、賃料設定には注意が必要です。

例えば、入居者が入れ替わる際の新規の募集では若干高い広告費を支払っても高い賃料で入ってくれる人を探すことが考えられます。

広告費が月5万円かかる部屋の募集について、1か月分余計に広告費を払った結果、月6万円の部屋が6万5千円で貸すことができたとしましょう。

利回りを10%とすると、この場合の損得は「賃料値上がり分5千円×12ヶ月÷10%-5万円=55万円」のプラスになりますから、多少広告費を余分に払っても十分以上にペイする計算になります。

③違う業態へ貸すことも考慮に入れる

その他、店舗として利用されている部屋のある物件であれば、最近はコインランドリー投資等も一部で注目されていますから、より高い賃料を取れる業種に貸すことを検討することも良いでしょう。
店舗については、立地条件や建物が同じでも業種によって支払い可能賃料が違うという考え方があります。

一般的には「軽飲食店<単価の低い物販店<コンビニエンスストア≦酒類を提供するような重飲食店<ブランド店舗」といった関係です。

もちろんテナントのとの交渉やメンテナンスの問題、それに重飲食店が入居すると上層階の住宅部分の品等が下がってそちらの賃料がダウンしかねないというリスクもありますが、全体で見た賃料がアップするのであればこれお検討することも良いでしょう。

④修繕を行う

他に賃料を上げる方法としては、修繕をすることが考えられます。ただし、売却を考える場合は「修繕費<売却価格のアップ分」が成立するかどうかを検討しなければマイナスになりますからご注意ください。

例えばエントランスや廊下等、共用部のリフォームを行って外観や専有部分以外の見栄えを良くする工事であればさほどの費用はかかりませんし、これによって入居者の賃料アップ効果が得られることもありますので併せて検討してください。

物件保有段階から「どのように売るか」を考えた管理運営を

別記事でもお話ししましたが、建物を取り壊して更地の形で売却するためには、入居者に出て行ってもらう必要があります。

そのため、入居者への引っ越し費用等の負担が発生しますし、定期借家契約に切り替えていく等の地道な交渉も必要になります。

更地化するために入居者に出て行ってもらわなければならないということは、前段の収益物件として売却する場合とは正反対のこと(入居率を自ら下げる)をしなければならないという意味です。

そのため、「途中までは更地にしようと思っていたけれど、考え方を変えて収益物件として売ることにしよう」という考え方は基本的にはNGです。

収益物件として売る場合は入居率を上げることが必要なのですから、中途半端に入居者に出て行ってもらって入居率を下げておいて、途中で考え方を変えると改めてその時点から入居者を募集しなければなりません。

特に入居者退去がかなり進んで空室が相当多い物件は、入居希望者の側でも何かあるのではないかと勘繰って敬遠されてしまうこともあります。売却までの時間もかかりますし、空室を多く抱えた状態ででもいいから早期に売却したいと思えば空室率が高いわけですから高値売却は難しく、安い価格でしか売れなかったということにもなりかねません。

そのため、物件保有時からどのように売却するかを考えて戦略的に管理運営をしていかなければなりません。
このことは繰り返し申し上げておきます。

纏め

  • 収益物件の高値売却の要点は①入居率を高く②賃料も高く
  • 店舗部分がある場合にはより高い賃料が取れる業種への入れ替えも選択肢の一つ
  • 更地で売る場合は入居者に出て行ってもらわなければならない
  • 物件保有時から売却するときは収益物件で売るのか、更地で売るのか決めておく。どっちつかずはNG
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