賃貸借契約が保証人よりも会社が良い理由。選び方やメリットは?

家賃滞納を防ぐため、以前は賃貸借契約の際に親を中心とした親族を連帯保証人としてつけることが一般的でした。しかし、現在は少子高齢化、晩婚化が進んだ結果、連帯保証人はあまり効果がない制度になりつつあります。

そのため、現在では賃貸借契約の際、保証会社への加入を義務付けることの方が家賃滞納を防ぐ意味でより効果的です。

今回はその保証会社の選び方について解説していきます。

目次

連帯保証人が根本的なリスク回避にならない理由

連帯保証人という制度は過去においては非常に有効な制度でした。

「家賃は払わなければいけない」というモラルが浸透していましたし、例えばワンルームや1Kのマンションを借りるような人は比較的若年で、入居者の親もまだ若く収入も十分であったケースが多かったからです。

しかし、少子高齢化・晩婚化が進んだ結果、40代でもワンルームに入居する独身者が増えています。そうなると、入居者の親も高齢で、場合によっては年金生活で十分な収入も蓄えもないというケースが増えているのが最近の状況です。

連帯保証人制度は、主たる債務者である入居者が家賃滞納等をした場合、入居者と同じように連帯保証人にも家賃を支払うよう督促ができるという非常に保証人の責任が重い制度ですが、問題があります。

それはあくまで民事上の責任であるため、オーナーが連帯保証人に請求しても連帯保証人が払えない場合は滞納分の家賃を払ってもらうことはできないということです。

連帯保証人に連絡がつかない(=連帯保証人自体が逃げてしまう)というケースも増えていますから滞納分の回収までに時間がかかります。

また、連帯保証人のモラルが低い場合、払えても払わないで入居者が居座れるだけ居座らせようとするようなケースもあります。そのような場合裁判を起こして退去・滞納分支払を求めても、弁護士費用等多額の費用がかかりますし、退去までの時間も相当長くなってしまいます。

このようなトラブルは現実に増えており、極端な投資物件オーナーになると、「連帯保証人をつけても全く意味なんかないですよ」と言う人もいる位です。

(個人的には全く意味がないとは思わず、心理的・道徳的な面でのリスク回避にはなっていると思いますが)

以上から、現在の状況では家賃滞納リスクを回避する点では連帯保証人制度は実効性のある根本的な解決方法ではなくなりつつあります。

代わって主流になっているのが、保証会社をつける方法です。属性の良いと判断される入居者には、賃貸借契約の際に保証会社に加入してもらえば保証人は不要とする場合も増えています。

保証会社のメリット

連帯保証人よりも確実に家賃滞納分の回収をするためには、保証会社の利用が圧倒的です。
保証会社への加入をしておけば、家賃滞納があった場合は期日通りに確実に家賃を払ってくれます。また、サービスによっては事件や事故があった場合にも対応してくれますから、オーナーは原則として家賃滞納リスクを完全に回避することができます。

保証会社に加入する際には、入居者に対して保証会社の審査が入りますから、経済面での入居審査の煩雑さからも解放されると言って良いでしょう。

加入料(保証料とも言われます)は入居者負担ですし、オーナーにとっては良いことづくめです。

保証会社が倒産してしまうというリスクはもちろんありますが、そのリスクは現状極めて低く、無視しても構わないといった程度でしかないと思われます。

そのため、入居に関しては保証会社への加入を義務とすることがオーナーにとって大きなリスク回避手段です。

中古の投資物件を購入すると、前のオーナーの考え方で入居者が保証会社に加入していないような物件もありますが、その物件に購入以前から住んでいる入居者に対し、保証会社に加入するよう求めることは一応可能です。

ただし入居者の同意を得る必要はありますので交渉はやや難しいものになります。

また、この場合の加入費用はオーナー負担になることが実務上一般的です。あまりにも物件の入居者が多く加入費用が高額になってしまい過ぎる場合を別にすれば、粘り強く入居者の理解を得て加入しておく方が安全だと思われます。

保証会社のカバーする範囲はオーナー・管理会社との間の関係で変わる

保証会社のサービス内容にもよりますが、一般的には家賃の滞納の他、更新料・退去時の入居者負担の原状回復費用・万一の際の裁判費用・水道光熱費までカバーしてくれるのが一般的です。

ただし、これは交渉によって変わる個別性を持っているものです。

一般的に、個人オーナーと保証会社とでは資力の関係から保証会社の方が交渉のイニシアチブを持っていますから、あまり手厚いカバーにはなりません。
保証会社も小さい物件に全力を尽くしていると費用倒れになってしまうからです。

その一方で、管理会社が管理している物件で、管理会社の規模が大きく管理物件数も多い場合、保証会社との間の力関係が拮抗しているため手厚いカバーを受けられることが多くなります。
保有物件の管理は個人オーナーと管理会社との間の契約ですが、保証会社から見ると実質的に管理会社との間の契約になるため、多くの物件から保証料を得られるため、保証の内容を充実したものにしてくれるからです。

経済学で言うスケールメリット(規模の利益)が働くわけです。

物件管理にまつわるリスクは家賃滞納リスクだけではありませんが、保証会社との関係を見ても、ある程度の規模の不動産投資をしたい場合は管理会社をつけること、それもちゃんとした管理会社をつけることが重要になってきます。

最近は、「不動産投資は管理を買う」と言われるように、物件の築年や構造・立地条件といったいわゆるハード面だけではなく、入居者付・物件運営・維持管理・保証まで含んだ不動産管理の重要性が高まっていますが、この点を見てもそれがお分かりいただけるかと思います。

まとめ

  • 連帯保証人制度は少子高齢化・晩婚化が進んだ現在ではあまり有効ではなくなっている
  • 家賃滞納リスクを回避するなら保証会社への加入が有効
  • 保証会社のサービス範囲はオーナー・管理会社との間の関係で変わる
  • 管理会社選びがより重要になりつつある
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