住みたい街ランキングの活用法【東京のマンション価格は南高北低】

住みたい街ランキングをご存知でしょうか。不動産情報サイトのsuumoが毎年発表しているランキングです。

このランキングは住宅用途に限定されていますが、需要者(つまり、入居者です)にとってどの町に人気があるのかを知る、裏を返せば空室が発生しにくい地域を知る良いヒントになります。

また、当然人気のある街は物件価格も高くなる傾向もありますが、どの地域に投資したいのかだけではなく、自分の投資資金でどの地域に投資可能なのかということの判断材料にもなります。

目次

住みたい街ランキング(東京都民版)の概要と活用方法

住みたい街ランキングは、「住みたいと思う街をアンケートで答えてもらった結果」の集計です。

「(年収や払える家賃限度額も考えて)住める街」のランキングというわけではないことには注意しなければなりませんが、不動産投資に当たっては重宝する資料になります。

住みたい街ランキング・東京都民版の2016年版、2017年版の結果を見ると、以下の通りとなっています。

東京都ではここ数年、吉祥寺や恵比寿が常にトップの常連ですが、東京23区に絞ってよくエリアを見ると、いわゆる城南地区、つまり東京23区の南西部の駅が多いことに気づくのではないでしょうか。

そして、城北地区、つまり東京23区の北部の駅はやや少なくなっています。池袋が健闘しているくらいでしょうか。

JRやメトロ等の路線図でこれらの駅の特徴を見ていくと、東京駅や銀座駅、有楽町駅等といったいわゆる「働く・買い物をする・遊ぶ」ための地域への交通利便性が高いこと、ターミナル駅やJR・メトロ・私鉄等の2~3路線利用な可能な駅で、通勤にもプライベートにも便利な地域であること、イメージとして「おしゃれ」な地域と認識されており名声が高いことといった特徴が挙げられます。

当然こういった地域はマンションの賃貸需要も堅調ですから、物件の設備水準等にもよりますが地域として空室発生リスクや、次の入居者が決まりにくいといったリスクは低い地域であると言えます。

住みたい街ランキングには上記の東京都民版以外にも、「穴場だと思う街」、「この2~3年で人気が高まったと思う街」、「これから人気が出そうな郊外の街」と言ったランキングが併せて発表されています。

穴場だと思う街については、比較的地価・賃料水準は低いものの人気があると思われる街ですから、旧来から人気のある総合ランクにランクインしている地域の投資物件が割高で買えない場合、第2、第3候補として検討する価値はどこか、といった使い方もできるでしょう。

この2~3年で人気が高まったと思う街についても同様です。

このように、住みたい街ランキングを利用することで「どの地域の投資物件を買えば手堅い賃貸需要が見込めるのか」という予測をすることが可能です。

東京都内のマンション価格の潮流は変化している

不動産投資としてマンションを購入するのであれば、「価格の高い地域ほど高い賃料が取れる」という面があります。価格が高くなると利回りは下がる傾向はありますから、あとはパーセンテージとしての利回りと受け取りが見込める賃料総額、ローン返済額を考え合わせるということになります。

では、価格の高い地域はどこになっているのでしょうか。

一棟ものではなく、区分所有としてのマンションの価格(いわゆる分譲マンション)の話をすると、首都圏では昔は「西高東低」と言われており、世田谷区や目黒区、渋谷区などが高く、城東地区といわれる江東区や墨田区が低いと言われていました。

しかし、今は上の住みたい街ランキングにもあるとおり、城南地区の人気が高まっており、やや変化が見られます。一般的には「南高北低」となっています。

つまり、南側の目黒・中目黒・自由が丘(目黒区)、品川駅周辺から品川ベイサイドエリア(品川区)が高くなっています。
これらの地域はお洒落な街であるという名声が強い、交通利便性も良いという特性を併せ持っていることから人気が高まっている状況です。

その一方で、東京では北区、板橋区、足立区等については、確かに「穴場」といわれる駅、例えば北区の赤羽駅、板橋区の大山駅や十条駅、足立区の北千住駅といった交通利便性が良好であったり、日用品の安売り店が多く低価格で生活ができたりという地域もありますが、住みたい街ランキングの総合にこれらの駅が入っていない通り、一般的には価格も賃料水準も低い地域となっています。

投資する地域を選ぶには、「どのような入居者をターゲットとするか」も考えるべき

また、やや専門的になりますが、投資として考える場合、「入居者はどの程度の年収の層をターゲットとするか」ということも考える必要があります。

例えば、売買における分譲マンションについては、現在の市況や給与所得者の購入可能額の限界から見て、総額8,000万円を超えるとほとんどの人の購入可能額を超えてしまい、売れ行きが厳しくなるという状況です。

その一方で、7,000万円くらいの新築マンションであれば、江東区や墨田区、江戸川区等のいわゆる城東地区にある旧来は価格が低いと言われてきた地域の物件であっても、現在は都心への交通アクセスが良くなったため良い売れ行きであるそうです。

ここから考えると、おおよそですが分譲マンションで総額1億円以上の億ションを買うような人たちは、基本的に交通利便性はあまり重視しません。なぜかというと、東京都内であってもほとんど車で動いてしまうからです。

これらの方が出せるマンション購入価格を家賃に引き直すと、概ね月70万円以上の家賃ということになるでしょう。もうほとんど千代田区番町や、港区の青山・赤坂・麻布の外国人から特に人気の高いいわゆる3Aエリアといった賃料水準です。

総額8,000万円程度まではやや幅はありますが月15~40万円前後の家賃帯ということになるでしょうか。ややエリアが広くなりますが、基本的には南部の目黒区や渋谷区の人気が高く、物件によっては先ほど申し上げた江東区東雲や墨田区の錦糸町エリアも入ってくるでしょう。(もちろん借りる人の属性は異なってきますが…)

住みたい街ランキングは、あくまで「住みたい街」をアンケートによって答えてもらった集計ということを踏まえて使えば、一例として、以上の通りの分析ができる非常に有効な資料になります。

まとめ

  • 住みたい街ランキングは「住める街の内で住みたい街」のランキングではないが、どの地域の物件を検討するかを判定する資料になる
  • 投資としては基本的に人気のある地域から検討していくべき
  • 「穴場と思う街」ランキングも投資可能額等で第一候補が買えないのであれば検討していくべき
  • マンション価格はかつての西高東低の考え方ではなく、南高北低の考え方が一般的になってきている
  • 東京東部でも地域によっては利便性や再開発で成長している街もある
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