不動産投資を始めるにあたって、「区分所有マンション」と「一棟アパート」どのような物件を購入すればいいのかということは、投資戦略を決めるという意味でも非常に重要です。
とはいえ、書籍やインターネットには「初心者は区分マンション」「高利回りの築古アパートが狙い」「新築から始めるべき」など様々な情報があふれていて、何から始めていいのか判別できず、迷っている人は多いのではないでしょうか。
今回は、基礎知識として物件種別から、どちらに投資すべきかというヒントまで説明していきます。
代表的な不動産投資の対象
不動産投資には、分譲マンションの一室などの小規模投資から、アパートやマンションを棟単位で所有する大規模な投資まで、様々な種類があります。
具体的に挙げると次のようになります。
区分所有マンション
分譲マンションの一室を指します。
購入費用とは別に、毎月管理費、修繕積立金といった経費がかかります。
新築では、属性の高いサラリーマンをターゲットに電話営業が行われるのが一般的で、中古では築浅物件から築30年物件までが販売されています。
利回りは高くありませんが、投資額が少額なため、手軽に始めたいというサラリーマン投資家に人気です。
一棟アパート
規模がそれほど大きくないため、新築・中古ともに人気があります。
新築アパートの場合、法定耐用年数の短い木造であっても長期間の融資が受けられます。
中古アパートの場合、地方の高利回り物件が人気ですが、融資が付きにくいのが欠点です。
一棟マンション
一棟マンションには、10戸程度の小規模物件から数十戸もある大規模物件まであり、構造にはS造、SRC造などがあります。
小規模物件で数千万円、大規模では数億円になり、融資を受けられる高属性の投資家が対象になりますが、積算評価額がとりやすいことから、融資をうけて投資を行いたい人から絶大なる支持を受けています。
初心者は区分所有というのは本当か?
このように投資可能な物件の種類は実にさまざまですが、この中でも不動産投資初心者にとって投資の対象になるのは、やはり少額から手軽に始められて、購入後の運営にも手間がかからない「区分所有」と考えている人は多いのではないでしょうか。
確かに、一棟アパートに比べると、物件価格は安いですし、管理・運営の手間がかからないのは事実です。
しかし、「区分所有なら手軽に始められる」というのは事実ではありません。
なぜなら、購入から運用までに必要となるプロセスは一棟と変わらないからです。
一連の流れは数百万円の物件であっても、数億円の物件であっても変わらないので、その観点から言えば、むしろ同じ流れを行うのであれば、一度でより大きな収益を生む一棟を購入した方が効率的です。
購入から運用までのプロセスという意味では、区分所有マンションも一棟アパートも同様ですが、それ以外の部分では長所と短所が入り交じっています。
区分所有マンション投資と一棟アパート投資に絞り、それぞれのデメリットをみることで、比較検討していきたいと思います。
区分所有のデメリット
競争力がない
投資用区分所有マンションはほぼ規格が決まっていて、類似物件がたくさんあるため、修繕しても、その狭さから競争力のある物件にすることは非常に難しいといえます。
空室リスク
1部屋だけの所有になるため、入居がなければ当然収入はゼロとなり、持ち分が少ないことから、担保評価も得られません。
収益性が低い
区分マンションは入居者がいる状態でも、管理費や共益費、修繕積立費などを差し引くと、月々の収益は数万円程度となり、キャッシュフローを生みにくいです。
融資を受けにくい
区分マンションは安いため投資商材としては手を出しやすいですが、その分、資産価値も低いため銀行は融資をしたがりません。
フレキシブルな対策ができない
他のオーナーとの兼ね合いなどがあるため、簡単にリフォームや入居条件の緩和をすることができません。
一棟物件のデメリット
管理が大変
管理・運営の煩わしさは避けられません。
入退去の対応から入居中のクレーム処理など、本業のあるサラリーマン投資家にすれば、荷が重く感じられるかもしれません。
リスクが集中する
区分所有物件に分散投資する場合に比べると、地震・火事等の災害時や環境悪化があった場合に物件全体に影響が及ぶ可能性が高いといえます。
大規模修繕
古い物件や管理状況の悪い物件には修繕・改修費用がかかる可能性が高いといえます。
区分所有のように室内だけでなく建物全体が対象になるので、費用も当然高額になります。
まとめ
不動産投資ではついついメリットばかりに目が行きがちですが、ぜひデメリットからもどのリスクは受け入れられるかなどを見極めた上で、方針を決めるようにしましょう。
投資効率を重視する方、複数の投資物件の所有を視野に入れている方であれば、一棟アパートへの投資をおすすめします。
しかし、自分の投資スタイルや区分所有マンションと一棟アパートのそれぞれ良い点と悪い点を見極めた上で、自分にあった物件を選びましょう。
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